暦の上では秋…。今より遥かに平均気温が低かった頃の、昔の暦…。

相変わらず蘭厳しめです。蘭ファンはバックプリーズ。

 

 

待ち合わせ場所を帝丹高前にしたのが悪かったのかもしれません。

バス停前でバッタリです。

私は解決したとだけ聞いていて、どういう決着をしたのかなどの詳しい内容は知りません。接近禁止令みたいなものまでは出ていなかったのか、あれって偶然会っても声をかけたりするのは禁止、ですよね…確か。

隣にいる鈴木園子が頭(と言うか、おでこ)を押さえています。

つまり、幼馴染みの人間関係の一部として、彼女も「話し合い」の内容は知っている、という事なのでしょう。

「―――――毛利」

…この人、こんな低い声が出せるんですか。

機嫌が急降下したのが、どんなに鈍い人にも解る位にあからさまです。

尤も、相手はあの毛利蘭ですから、これでもきっと無駄でしょうね。

「私の誘いは全部断ってるくせに、何でその人とは出掛けるのよ!?」

ああ、うん、そう言う事ですよね。

と言うか、これって一応修羅場という事になるのでしょうか?かなり一方的ですけど。

「俺にもう関わるなって言ったよな?弁護士も交えて話し合ったよな?」

「知らないわよ、そんな事!あんなのお父さんとお母さんが勝手に言った事じゃない!」

きっとその場でも散々喚き散らかしたのが容易に想像できます。

「ちっとも解決していないではないですか」

でもこれは私にとってはチャンスです。

工藤新一ともう一度距離を取れます。酷い女と思われようが、これを利用しない手はありません。

「え、いや…解決してた筈なんですよ!」

工藤新一は大慌てしましたが、彼にしてみればとんでもないハプニングですものね。

それにここは大通りのバス停前。

つまりは人通りも多いという事。そんな場所でこんな大騒ぎに立ち会いたくもありません。

何度でも言いますが、私は目立つ事は嫌いなのです。

「あの…月宮会長」

「はい?」

何とここで、鈴木園子が話しかけてきました。

「あの、ここは私がどうにかするので、早く新一君と一緒に行って下さい!」

小声で囁かれました。

とてもとても親切心からだと解ります。

解るのですが、今の私にとってはある意味死刑宣告です。

私が動揺している間に、鈴木園子はさっさと工藤新一の方へ行き、何やかや三人と話しています。

あれでも彼女は財閥の一員ですので、それ相応の話術も身につけているでしょうし、原作のように毛利蘭至上主義でもないようですので、結構口調がきつい気もします。

……。

5分も経たないうちに工藤新一がこちらに小走りにやって来ました。

その後ろに目をやると、鈴木園子が毛利蘭をちょっとばかり無理やりに連れて行こうとしています。

この流れって、もうこのフラグは折れないという事なのでしょうか。どんどん彼とのフラグが立って行くという流れになるのでしょうか。

どうにか、どうにかしないと。

どうにかして卒業までにフラグを折らないと!