オリ主の受難は続きます。

相変わらず蘭厳しめです。蘭ファンはバックプリーズ。

 

 

平穏・平穏な日常が欲しいだけですのに。

――――ニギャァアァァ

心の中で、あくまでも心の中で、私は発情期の猫のような悲鳴を上げました。実際に声に出なかったのは奇跡でしょう。

私の目の前には、あの警察学校組の幼馴染爆処コンビがいます。

私をナンパするもの好きな男達を追い払ってくれた事には感謝します。

感謝はしますが…何故お礼を言った後もこの場を去ってくれないのでしょう。

それどころか、自己紹介されて名前を訊かれました。この場合、通りすがりの人になるのが普通の筈です。いえ、「筈」ではなく絶対そうです。

入学式当日、工藤新一が現れた時の心境再びです。

神様!

私は逆ハーの転生特典なんて望んでいません!!

平凡でいいんです!何故それを叶えてくれないんですか!

「ええと、月宮さん?」

「は、はいぃ」

「そんな緊張しないで…って言っても無理かな」

はい、無理です!

人通りは少なくない、と言う程度ですが、それでもここは公共の場、往来です。

こんないい男二人に話しかけられるなんて、目立つ事この上ありません。本当に勘弁して下さい。

「ちょっと、奇跡的だなぁ、って」

「どう言う事ですか」

「ついこの間、タイプの違う美人二人を見かけて…友人達と盛り上がったんだけど」

「それが何か」

「その美人二人の片方が君」

「―――――――は?」

思いっきり反応が遅れた私に、二人が「おや?」と言う顔をしました。

「ん~。偶にいる自分の容姿に頓着のない人かな?」

「ああ、ゼロみたいな」

彼は正真正銘のハイパーイケメンですが、私は普通です。先日の有希子ママと言い、人を過大評価するのは止めて欲しいものです。

「もう一人を紹介して欲しい、という事でしたらお断り…いえ、一応彼女に確認はしますけど」

「いやいやいや、君。俺達は月宮さんがいいの」

人は見た目が全てなんて事はありませんが、第一印象はやはり見た目でしょう?それで志保ちゃんより私を選ぶなんてあり得ません。

物凄く不審そうな顔つきになった自覚はあります。

二人は顔を見合わせて苦笑しました。

「う~ん。ナンパを追っ払った後に同じ子をナンパするって、あんま良くないんだろうけど」

「一応、身元証明」

警察手帳と運転免許証を見せられました。

「警官が絶対悪事を働かないって、保証は出来ないけどさ、ある程度の信用はして欲しいかな」

「警察官が二人で同じ未成年の女の子をナンパするって事自体が、問題のような気がしますが?」

「大学生じゃないのか?」

「高校生です。まだ18にはなっていません」

解放して下さい。

これで諦めて下さい。

「でも三年生だったら、後数ヶ月だよね」

「迷惑だって言ってるんです!」

もうズバッと言ってしまいましょう。

彼らは好きなキャラでしたからあまり強くは言いたくなかったのですが、工藤新一と同じです。

生身の人間としては関わりたくありません。