予告していました蘭成り代わりの本来の蘭に厳しめなSSです。
どの時点から書くかな~と考えた結果、高校以前はダイジェストにしようと決めました。…全部一から書くとなるとそれだけで長すぎる。
ただでさえ書けば書くほど長引く病を患っているのに。
蘭成り代わり、本来の蘭に厳しめSSです。蘭ファンはバックプリーズ。
私、毛利蘭は先日めでたく帝丹高校に入学した。
幼馴染みで親友の鈴木園子と、やはり幼馴染みで恋人未満な工藤新一と共に。
とはいえ、帝丹はエスカレーター式の私立高なので、大抵は「幼馴染」の範疇に入る。要はどれだけ親しくしているか、だ。
そして私は、厳密に言えば「毛利蘭」ではない。
過去世の私は、三年付き合った彼氏と正式に婚約者になり、結婚式の準備中という幸せ絶頂期に、暴力団の抗争の流れ弾に当たって死亡と言う少々普通ではない死に方をした20代後半のOLだった。
私の結婚の前祝と言う名目で開かれた、友人達との飲み会の帰りの出来事だった。
その後のことは解らないが、彼も両親も友人達も、きっと嘆き悲しんだだろうと思う。
そうは思っても、何が出来る訳でもないが。
そして気がついたら、私は毛利蘭だった。
一応「名探偵コナン」は読んでいた。まぁ、それも週刊誌の立ち読みのみ(!)で、ここ最近はアニメからも離れ気味だった。
だって、私はヒロイン様が大嫌いだったから。
無理やりなエンジェルちゃん扱いや、主人公補正以上のヒロイン補正に嫌気がさし始めていたのだ。
なのに、何の因果か、その毛利蘭に成り代わり転生。
ただそうと気付いたのは三歳くらい…つまり物心がつき始める頃だったので、本来の彼女の人格はどうしたとか言う事ではなく、「ここ」では最初から私が毛利蘭なのだろう。
それを理解した時、私は原作クラッシュを決意した。
少なくとも、新一との歪みに歪んだ共依存関係を築く事はしない。と言うか、私の中身が大人なのだ。
年齢的には親子と言っても差し支えない。そんな相手に依存するなんて、どんだけだ。
そして新一に現金・現物、園子にコネを集ったりもしない。
と言うか、それが当たり前の友人関係でしょ?
更に英理さん…お母さんが家出しそうになった時には、思い切りギャン泣きしてやった。「いい子にしてたら帰ってくる」なんて言葉が守られる訳がない事は知っていたから、だったら最初から出て行かせなければいい。
こんなに泣き喚く幼い子どもを残して出て行くのなら、本当に彼女は母親になれない人なのだから、諦めもつこうと言うものだ。尤もお父さんがどうするのかは私が口出しをする事ではないので、離婚云々に関しては任せようと考えた。
所が驚いた事に、彼女は踏みとどまった。
「ここまで娘に必要とされている、愛されている」という事が琴線に触れたのかどうかは解らないが、お父さんときちんとした話し合いの場を持って家出を止めた。
ただ弁護士の夢はどうしても諦められない、という事で、私が学校に行っている間は全て勉強時間にあてる事にしたらしい。
当然、家事はそこそこになる。
とはいえ、元からお母さんは家事が苦手な人だ。ここで原作では影も形もなかった妃の方の祖父母が出てきた。
おばあちゃんがお母さんに家事を手ほどきしながら、メインになって家事をこなし、おじいちゃんが私の相手をする。
これによってお父さんは刑事を辞める必要もなくなり、今も捜査一課で活躍(?)している。
私も中学に上がる頃には、家事をそれなりに(元々出来るのだがそれは表には出せない)こなせるようになって、お母さんは司法試験に合格、祖父母がやって来る頻度も落ちた。もう大丈夫と安心して、娘夫婦に過干渉しないと決めたらしい。
「私の我儘で、蘭には負担をかけてるわね。御免なさい」
「何言ってるのよ。女だから、母親だからって夢を諦める必要なんて無いのよ?」
「それはそうなんだけど…それを最優先にしちゃダメな事も、きっとあるのよね」
時々、お母さんはこう言う事を言う。
私を残して出て行こうとした時の事に、罪悪感を持っているのだろう。でもそれは過去の事で、今はちゃんと母親してくれているのだから気にする事はない、と思う。
「結婚が早すぎたんだよね、きっと。でもそうでなかったら、私は生まれてないから、もう気にしなくていいんじゃない?」
「そうね。あの時あなたが泣いて引き留めてくれて、本当に良かったわ」
毛利家の家族関係は良好だ。
