「約ネバ」が凄い事になっています。
何だろう、「敵」が人間な分、狩庭編より絶望感が深い気がします。というか、どうやってそこまでの情報を仕入れたのか。何処かに資料でも残っていたのか、それとも「協力者」を先に見つけ出したのか…。
やはり蘭厳しめです。蘭ファンはバックプリーズ。
プライベートでは見た事がなかった(あの作戦中には結構あった)降谷の強引さに、薔薇は眉を寄せた。
「――――離して」
「話を聞いてくれるなら」
「嫌って言ったら?」
「ずっとこのままだね」
薔薇も他の女子高生達に比べれば、鍛えている方だ。だがしかし、やはり本職の、しかも人並み以上に鍛え上げている彼とはレベルが違う。降谷にその気がない以上、薔薇が折れるしかない。
薔薇は仕方なく座り直した。
「悪かったよ。もったいぶった言い方をして」
松田も似たような言い方をしたらしいが、その時は興味津々だったという話だったのに。
「それで…その人はもうすぐ来るの?」
「もう来てるよ」
降谷は握ったままの手首を軽く引き、体ごと引き寄せると小さな顎にもう一方の手をかけた。
「ふ…」
「ここに」
その体勢に、周囲から先程以上の悲鳴が上がった。本人達は一切気にしていなかったが、何しろ滅多に見ないイケメンと美少女の取り合わせだ。店内の客が見るとはなしにずっと見ていたのだ。
だがそれも、二人にとってはどうでもいい事で。
「僕の極上の女」
「しょ、紹介するって…」
「うん。紹介したよ。君、自分のことをそうは思ってないだろ?」
「そんな事、自分で思ってる人、いない」
話し方が片言に近くなった薔薇を見て、降谷は手を離した。
薔薇はそのまま脱力して、椅子に全体重を預けて呟いた。
「どう、言う…意味」
「そのままだよ。妹じゃなく、一人の女性として君を見ているって事。――――君が好きだよ、薔薇」
初めて呼び捨てにされ、薔薇は瞬きした。だが次の瞬間にハッとする。
「え…まさか、松田さん、も…?」
「さぁ、それは僕には解りかねる事だね」
実際のところその通りなのだが、それは自分が言う事ではないと思った降谷は誤魔化した。これで自分の事だと思い込めるほど、薔薇は自惚れが強くない。
この場はこれで済むだろう。
「ずっと離れてる期間が長かったせいで、思い知った。その時間の中で、君が心の支えだったよ」
「え、や…でも、それは」
「今すぐに返事をくれなんて言わない。予想もして無かっただろうしね。それに僕の仕事が仕事だから、君にとっては辛い事ばかりになるかもしれない。だけど」
それでも告げずにはいられない程、君を好きになってしまったから。
真摯な…勿論纏う空気は違うが、あの作戦時に見ていたのと同じ位の真剣さで言われ、薔薇は息を呑んだ。
「期限、は…?」
「そうだね…僕の次の休みの時まで、かな」
「それって…」
「ま、ハッキリした期限ではないね。でも少なくとも10日以上はあるよ」
「うん…あのね、ちょっと聞いてくれる?」
降谷のこれ以上はない真摯さに、ならば自分もそれに見合うだけのものを返さなければ。
薔薇は居住まいを正した。
本当は誰かに話すような事ではないけれど、黙ったままでいるのはフェアではないだろう。どうやら彼らは優作経由で自分の初恋相手を知ったようだし。(それを知った時、薔薇は生まれて初めて優作相手にキレ、優作は壮絶に落ち込んだ…のは過去の話)
「いいよ、何なりと」
「おととい、私が不機嫌だった理由」
薔薇は一度深呼吸した後、改めて口を開いた。
