「番外編」の筈なのに、何話かかるか解らない、蘭転落編。

その昔ね、まだ巨人が「球界の盟主」だった頃。プロ野球ファンの中で、巨人ファンの次に多いのはアンチ巨人という話がありました。

きっと蘭も、私みたいなアンチ以上に、純粋なファンが一杯いるよ、うん。実数は調べようもないけど( ´艸`)

容赦なく蘭厳しめです。蘭ファンはバックプリーズ。

 

 

蘭があそこまで心置きなく号泣できたのは…不幸中の幸いと言っていいのか解らないが、致命傷となった中での外傷が、背中側に集中していて顔は綺麗だったからだ。

しかも、「宮野志保を守れた」という満足感の中で目を閉じた表情のまま。つまり、とてもではないが重大事件の最中に命を落とした、とは思えない死に顔だったのだ。

もしも新一の顔が対面を許されない程潰れていたら、そうでなくとも苦痛に歪んでいたら…蘭はもっと早くにその場を離れていただろう。

何故なら、蘭の精神はそんなものには耐えられないのだから。

 

「新一ぃ…」

結局蘭は、葬儀スタッフに促されて棺から引き離された。会場側としても、どれ程特別な間柄であろうとたった一人に余りにも時間を取られては困るからだ。

この時点で、蘭はスタッフ達にも嫌悪を向けられていた。

彼らはプロだ。

今まで数多くの葬儀を行ってきたが、蘭のような行為をする者は一人としていなかった。葬儀というのは私的な場であると同時に、公的な場でもある。

しかもこれ程多くの人間が参列している中で、他の者が死者に別れを言う時間を奪うような真似をするなど、非常識の誹りを免れない。

今回の場合であれば、母親である有希子ならまだしも、と言う所だ。

漸く蘭が離れた事で、他の参列者が動き出す。

そして会場側の厚意で、蘭が潰した時間の分を延長して貰えた。

 

翌日から新一の死亡についてと、蘭との関係が報道され始めた。

数日経つと、組織壊滅のニュースと、そこで新一が中心にいた報道も始まった。

これは政治・経済・芸能界などに余りにも影響が大きく、その原因となった事がこれだと報道した方がいいと判断された為だ。勿論、それは表に出していい部分と、絶対に隠さなければならない部分を厳選した上での事だ。

そのせいで新一は英雄とされ、それと同時に彼の恋人であった蘭もまた、時の人となった。

蘭が未成年である為、当初はマスコミの側は本名や顔を出さない事を前提にインタビューを申し込んでいた。勿論、新一の死から間もない為に断られる事も織り込み済みだったのだが…何と蘭は二つ返事で引き受けた。

曰く、「英雄でない、素顔の新一を知って貰いたい」との事。

だが、彼らが最も驚いたのは、蘭が自分から顔出しも本名を出す事もしてほしいと言ってきた事だった。

「だって、私は悪い事なんてしていないんですから」

「新一の恋人だって事を隠すみたいで嫌なんです」

この言い分に、蘭の「自分が正義」「自分大好きなナルシスト」「ヒロイン願望過多」という、本性の一部を知らないマスコミは、上の判断を仰いだ上で蘭の要望を聞き入れた。

 

こうして蘭は、巨大な墓穴を自ら掘り始めたのだった。