赤井さんと降谷さんと工藤夫妻が一堂に会しましたよ。赤井さんと降谷さんは銃口突き付け合ってたけどね。でもまた休載だって。

降谷さんが赤井さんを恨む理由がスコッチの事だけじゃなかったのが確定。更に和解が遠のいたよ…。

蘭は存在しませんが(基本)蘭厳しめSSです。蘭ファンはバックプリーズ。

 

 

志保も高校へ一応進学していた。

アメリカで新一と同級になっても良かったのだが、向こうでも同じ高校に行くかは解らない。目指すものが違うからだ。

どの道「同じ」にはならないのなら、わざわざ一学年遅らせる必要はないし、幾ら砂糖を吐くような甘い関係であっても、二人は『恋人だから同じ学校に進む』などという、恋愛脳ではないのだ。

今は二人ともアメリカの高校へ進学する為の準備を着々と進めている所だ。

そんな中、何時もの夕食を共にする為に工藤邸へやってきた阿笠と成実だったが、何故か阿笠は思案顔をしていた。

「どうしたの?博士」

有希子が訊くと、阿笠は嬉しいような困ったような、何とも表現のしようがない顔になった。

「フサエさんのことなんじゃがのう」

「喧嘩でもしたのか?」

新一が驚くでもなく、普通に訊く。

「いやいや、順調じゃよ。それでな」

「うん?」

「もうわしらはいい歳じゃろう?できれば早く一緒に暮らしたい、と言ってくれての」

物凄く照れながら打ち明けた阿笠だったが、そこで全員が「ああ」と阿笠が困っている理由に思い至った。

成実が小さく溜息を吐く。

「俺の事なら気にしなくていいですよ。もうとっくに成人してるんですから。もしフサエさんの方がこっちに来るんなら、俺が一人暮らしすればいいだけだし」

「君なら、きっとそう言ってくれると解っておったがの、わしの方が寂しいんじゃよ」

血は繋がっていない。正式に籍も入れてはいない。

けれど、約十年一緒に過ごしてきたのだ。離れがたい、と思うのは当然の事だ。

「年寄りの感慨かのう」

「そりゃ俺も寂しいですよ。でも子どもは何時か独り立ちするものです」

「成実君」

「俺は家族を殺害されました。それは不幸な事ですけど、今でも忘れてはいませんけど、貴方や優作さんや有希子さん、新一君と家族になれて…きっと他の子どもより幸せに過ごせた」

優しい笑顔で、穏やかな声で、成実は言葉を綴る。

周りも黙って、それを聞いている。

「そして今では明美さんという恋人も得られた。俺は幸せになれました。だから今度は博士にも幸せになって欲しい、そう思います」

「…わしは今でも、幸せじゃよ。だから何と言うのか…フサエさんとの幸せを得る為に、今の幸せを捨てなきゃならんのか、と思ってしまうんじゃ」

成実の真摯な言葉に、けれど阿笠は何処か申し訳なさそうに言う。

そこで新一が大きな溜息を吐いた。

「新ちゃん?」

「バッカじゃねえの。あのな、博士。離れて暮らすだけで、捨てる事になる訳ねーだろ」

乱暴ともいえる言い草に、阿笠が目を円くする。だが、この新一の言葉を窘める者はいない。

「暮らす場所が離れたら、心まで離れるのかよ。そうじゃねーだろ。生きてるんだし、今の時代、連絡を取る方法も幾らだってある。それとも、フサエさんを幸せにしてやる自信がねーのかよ」

「そ、そんな事はないぞ。ただやっぱり、寂しいんじゃよ」

「それこそ年のせいか?フサエさんはもっと寂しいんじゃねーのか?」

「うう。新一が冷たい」

「博士は、私達にちょっと甘えたいだけなんじゃないの?本当はもう、心は決まってるんじゃないの?」

そこへ志保が参加する。

「今の状況を想定してなかった訳ないわよね?それに私達だって、後一年もしない内にアメリカに行くのよ?」

「―――敵わんのぅ」

新一と志保の指摘に、阿笠が苦笑いをする。

そう、「子ども達」といられる時間は…もう残されてはいないのだ。