準決勝が終わりました。やっぱりというか、我が母校は負けてしまいました。しかもコールド。(´д`lll) 今までコールド勝ちしてきたのに、高校野球って学校によって実力差が激しいですねぇ。

蘭厳しめSSです。蘭ファンはバックプリーズ。

 

 

蘭は生まれて初めて一人で窮地に立たされていた。

守ってくれる人も、助けてくれる人もいない。寧ろ、周り中敵だと言える状況だった。

「じゃ、ぁ…園子は」

「誰の事です?」

「鈴木財閥の娘で、私の親友よ!園子が一緒の事だって多かったわ。だったら、園子だって!!」

その言葉が何を意味するのか、蘭は全く考えていなかった。

親友と言いながら、その相手を自分と同じ犯罪者にしようとする行為、それでなくとも目暮達のように何らかの処分がされる事を期待していると言われても仕方ない行為だ。

「何を勘違いしているか知りませんが、彼女には何の罪もありませんよ。友人の犯行現場にいただけで犯罪者にされては、たまったものではないでしょうね」

淡々と説明されて、蘭は更に強く拳を握り締めた。

「園子が私に、空手を使えって囃し立てた事だってあるのに!それがなかったら、私だってここまでは」

「…逆ではないですか?」

「え?」

裁判長が溜息と共に吐き出す。

友人を道連れにしようとする態度は、醜いとしか言いようがない。守ってくれない、自分の益にならないのならば、平然と相手を陥れるのか。

「貴女は空手の有段者。つまり、日常でその技を使ってはならないと、戒められている筈。人より強い力を持っているのならば、その力の責任も考えなければなりません」

それに蘭が一瞬、ハッとした表情になった。

空手を習うならば、まず最初にその心構えを説かれ、徹底的に倫理観を叩き込まれる筈なのだ。いや、空手ではなくとも武道や格闘を習う者ならば当然の事ではないだろうか?

「空手を使えと言われても、それはやってはならない事だと相手を諭すのが、空手家としての正しい行動なのでは?」

「そ、それは…」

武道関係には素人の筈の裁判長に突き付けられて、蘭は言葉に詰まった。

それは蘭がずっと忘れていた、武道家としての基本中の基本。

友人が唆したとしても、それを断り、間違っていると教える立場だったのだと、蘭は漸く思い至った。そして自分は誰に言われなくとも、都合が悪い事、気に入らない事があれば簡単に空手を使っていた。

それでも蘭は、素直に間違いを認められない。

何故なら今までこんな事を言われた事がなかった為、受け入れる素地が心の何処にもないからだ。

「で、でも!人間、誰だって間違う事はあるじゃない!!」

「そうですね。その間違いが度を越え、法に触れたから貴女は逮捕され、ここにいるのです。いい加減、現実を見たらどうですか?」

丁寧な言葉で語りかけながら、やはり人間である裁判長は自分が苛立つのを自覚していた。

“いやいや、平常心、平常心”

ゆっくりと深呼吸する。

ここで怒鳴りつけてしまったら、先刻の自分の言葉を自分に適用しなくてはならなくなる。

 

蘭の醜態を見ながら、有希子が深々と溜息を吐いた。

「幾らなんでも…無いわ」

それに男三人が頷く。

「いい子」の仮面が被れなくなれば、あんなものだろう。そしてこの場で「悲劇のヒロイン」と言えるのは、園子の方だ。ずっと蘭を支え続け、他の誰より優先してきたというのに。

「あの子にとって友人を選ぶ基準って、自分の利益になるかどうかでしかないのね」

それならば、蘭にとって新一はさぞや美味しい存在だっただろう。

「…私以上に、女優の才能があるのかもしれないわね」

尤も、役柄はとてつもなく限定されるだろうし、その道はとうに閉ざされている。

 

 

どんな場合でも「一人」は嫌な蘭。