「携帯電話で『香り』をダウンロード、
 近くモニター実験を実施」

 という記事をみた。

「ユーザーが『iモード』を介して『香るプレイリスト』を
 携帯電話にダウンロードし、
 携帯電話内蔵の赤外線通信を使うなどして
 受信センサーを備えた専用アロマポットに同リストを転送し
 再生する仕組み」
「200種類の香りに対応できる」
 なそうな。

AV機器業界でも「香りを伝えるテレビ」が、ずっと昔から夢のように語られてきた。
それが現実のものになろうとしている。

私の見るところ、このケータイ・サービスが普及するボトルネックは、
「いかにしたら専用アロマポットを普及することができるか」
にある。

AV業界やカーナビ業界の仕事をしてきた者ならば、まず、
大画面テレビやカーナビに連携する「専用アロマポット」の普及を図る
というアイデアが浮かぶ。
家庭やクルマに専用アロマポットが普及すれば、
それがインフラとなってケータイで香りをやり取りするTPOを着実に増やしていく。


次に私のアイデアなのだが、
ケータイに「香りセンサー」をつけてほしい!

これは「香りを再現する技術」ではなくて、
「香りを(再現するための情報を)認識する技術」が要求される。
それを小型化してケータイ付属機にしたり、超小型化してケータイに内蔵したりするのは大変。
ケータイ業界の研究者はまた新たな研究課題を担うことになる。

しかし、これができたら「香りを伝えるケータイ・サービス」の幅はぐっと広がる。
なぜなら、いい香りに遭遇した時にそれをケータイで感知して写真といっしょにメール添付で送るなど
「ユーザー自らがセルフサービスするTPO」が限りなくあるから。


花を贈るデリバリー・サービスをケータイで依頼した時に、
業者からの送り主への受注確認メールに香りダウンロード・データが添付されてくる。
送り主はプレゼント相手に花を贈ったことを事前に通知する場合、この添付を利用する、
なんてことになっていく。

前述の「専用アロマポット」の置き場所が
   「香り情報」の受け手側インフラ

後述の「ケータイ・香りセンサー機能」が
   「香り情報」の送り手側インフラ

両者セットで「香りを伝えるケータイ」の市場拡大策となる。


「香りを伝える」その香りの質感や信憑性の高さが問われるが、
これは技術開発の進展に待つしかない。
ところがこの技術開発の進展は、
巨額の研究投資がなされ多方面の研究組織が参加することでしか促進されない。
よって、
「魅力的なヴィジョンとしての市場拡大策」を明快に広報することがポイント
になります。


ニュース記事には、
「NTTコムでは今月10─20日まで同サービスのモニター実験を実施し、
 事業化を検討するとしている」
とあった。
じつは製品メーカーにありがちなことなのだが、
「モニター実験」と称して、
無作為抽出の年齢別モニターに試作品を適当に使ってもらいその反応を見る、
そんなことで済ませてしまうケースがある。
このような何の仮説もない検証をした場合、芳しい成果はないとして、
経営から「事業化しない」という決定を受ける可能性が高い。

マーケティングを理解している者なら常識なのだが、
まずモニターには「香り生活」にこだわりや関心のある想定カスタマーを選ぶ。
次に、想定する魅力的なライフシーンやライフスタイル、
業務用ユーザーであれば想定する魅力的なワークシーンやビジネススタイルという
仮説を上記モニターに提示し、
その上でそういう使い勝手をするか、そういう使い勝手をして満足するか、
さらなるどのような期待を抱くかという
反応を調査すべきなのだ。

NTTコムの開発者の方々には、
是非、「香りを伝える生活」の魅力的ビジョンを提示して
    想定カスタマーをモニターにした仮説の実験検証

これにより経営の「事業化GO」の判断を導いてほしい!

さらに、老婆心ながら欲を言うと、
「香りを伝える生活」の仮説の実験検証は、
大型テレビやカーナビのメーカーなど異業種の開発組織とコラボレーションした方が、
一般的な話題性も業界広報効果も高く、また仮説実験検証の質も大いに高まる。
そういう点からも「NTTコムのモニター実験」の内容の狭さと期間の短さは気になる。