心臓ペースメーカー装着者カードってのがあるらしい。実際にペースメーカーを付けてる人が電車内で周りに知らせるために使うもので、ある装着者の方が自費製作したそうです。
カードには「ペースメーカーを使用しています。携帯電話の電源OFFにご協力ください」と書かれていて、パスケースかなにかに入れて首から下げるよう。作った方、また同じ境遇にある方の切実な思いはもちろん軽視できるものではありません。
だけど、もしこのカードを付けた人が電車内に乗ってきたら。そのときの私たちの心理も無視できるものではありません。その人を目の前にしたとき、私たちは携帯を使う自分にきっとその時初めて罪悪感を覚えます。ひそかに電源を切って、自分も周りも、シリアスな雰囲気になります。
問題は、普段車内放送でしつこいほど「電源を切ってください」という放送が流れるにも関わらず、誰にもその声がリアリティを伴って届いてないってことだと思います。放送の内容は理解しても、自分とは全く関係のない時限の話としてスルーして無関心、無頓着でいられます。だから、あんなに繰り返される放送に対してうるさいとすら思わないんじゃないでしょうか。
けれども、そこに実際の装着者がカードを付けていた時、私たちにとってその方の存在と、携帯の電源を切るか切らないかという問題とが一気にリアルに迫ってきます。だから焦ります。
そして、かく言う私も完全にその一人です。
私たちは、あまりに想像力に欠けていないでしょうか。言葉はわかっても、それを自分に身近な問題として想像することができない。だから、同じ車内に乗り合わせた人に対しても限りなく無関心でいられ、思いやりも生まれないんじゃないでしょうか。私たちの見ている世界は、どんどん狭く浅くなっている様に思います。