癌の治療で、顔は変形した。
なぜこうなってしまったのだろうか?
1月10日の15時間にも及ぶ手術が理由。
そんな事は分かっている。
事前に顔が変形すると説明は無かった。
恐らく大きな理由は、術後感染症。
変形しているのは顔の下半身部分。
1月10日の手術では、咽頭の癌を取り、右太ももの筋肉を使い、
咽頭の再建した。
その手術では、顎を骨まで切り裂いた。
その切り裂いた顎を、観音開きした状況で再建手術は行われた。
最期に骨折した顎の骨は、プレートで固定。
手中治療室から出た後から、40度の高熱が続いた。
術後感染症になった、肺血症のような状況に。
感染の原因の菌に対応する薬を探すは困難だったよう。
そして告げられたのは、顎の骨を固定しているプレートが感染していると。
それと、その他の傷も全て開くと。
傷が膿んでいるからと。
首は転移癌があり、リンパ節郭清術も受けた。
太ももには、再建で切り取った後、30センチの傷が。
それらの手術の箇所も、いずれも開かれた。
全身麻酔の手術で、それらは行われた。
感染症に対応する薬も見つかり、感染症は、点滴による治療を受けた。
顎の骨をプレートで固定しないので、顎関固定(上下の歯の根元を針金で固定)を数ヶ月。
恐らくだが、これが原因で変形したのだと思う。
変形に気が付いたのは、退院後。
手術した主治医も変わっている。
変形した理由も聞けていない。
なので、本当の理由は分かりません。
入院中に一度、勇気をだして鏡を見た。
顔の腫れに関しては、看護師さんにも両親にも言われていた。
「腫れが引いてきている。」と。
自分で見る勇気がわかず、鏡があれば目を背けてきた。
看護ステーション裏の重病個室。
薄暗い中、鏡を見た。
化け物が居た。
顎がなく、首と一緒になっていた。
これで、腫れが引いたと言われているという事は、どれだけ腫れていたのだろうと唖然とした。
それっきり、鏡を見るのを辞めた。
見る事が精神衛生上良くなかった。
手術から半年が過ぎ、退院しても鏡は見なかった。
何時までも、見ないわけにはいかない。
その思いで、退院後、
自宅で鏡を見た。
腫れは、リンパ浮腫は消えていた。
顎は有った。
だが、顎が割れていた。
割れている幅は、
指一本分も有った。
深さは、1センチぐらい。
腫れが引くと、顔面が明らかに、
変形していた。