8月9日、CT検査結果。
思いもよらなかった「癌縮小」。
その後もずっと衝撃を受け続けていた。
毎日、その衝撃で、ボーとしていた。
気が付けば、あれだけ苦労していた胸やけも、少し治まって来ていた。
「癌縮小」との医学的な結びつきは分からない。
想像するに、癌により体が弱っていたのが、「癌縮小」により体が元気に戻ろうとしているのでは。
7月25日に、緩和ケア病院の面談を受けたのはつい最近。
死ぬ場所を決めたのも7月25日となる。
僅か数週間前の出来事だ。
6か月に及ぶ、寝たきり入院生活。
退院後も、ほぼ寝たきりでの一人暮らし。
CT検査結果と胸やけの減少に、打ちのめされていた心にも、僅かながらに前向きな気持ちが目覚めてきた。
リハビリを始めた。
自分の中でのリハビリを。
唯一の外出の病院も、移動は、車椅子。
標準体重は62キロだが、55キロにまで痩せてしまっていた。
足も細くなり、右太ももは、咽頭再建の為に筋肉が大幅にとられている。
その為、右太ももの傷跡は、縦に30センチあり、窪んでいる。
床に座りこめば、
立ち上がる事は出来ない。
足の筋力が無く、立ち上がれない。
歩いて、リハビリをするしかない、
そう思った。
主治医にも、訪問診療の先生にも、訪問看護師にも、話さず、リハビリを始めた。
万歩計で計測、一日1000歩。
リハビリと言って、大したことではなく、ただ少し外を歩くだけ。
家の中でも、万歩計を着けているので、本当に家のごく近くを少し歩く程度。
外に出て歩くのは、怖かった。
弱った足で、転倒してしまったら、立ち上がる事が出来ない。
外で座り込んでしまったら、スマホで誰かに電話しても暫く座ったままとなる。
そんな迷惑もかけたくない。
本当に恐怖だったが、リハビリをしなければ、要介護4の体は、いくら癌が小さくなったとしても、
寝たきりのままでは、改善する事は無いと考えた。
実際、足だけではなく、
腕も上がらなくなっていた。
前開きの服でなければ、着るのも脱ぐのも難しくなってもいた。
肌着は、全て前開きの物に変えた。
グンゼの介護用だろう、前開き肌着をネットで購入。
利用する肌着はそれのみ。
この日歩いたのは、1084歩。
健康体な人なら、今日は歩かなかったという歩数だろう。
僅かな歩数だが、この日からリハビリがスタートした。
例え延命治療だろうが、
少しでも体を回復させたいと思えるようになれていた。
