三か月にも及ぶ、気管切開。
二か月半の顎関固定。
それらが終わって、やっと声を出す事が可能に。
喋った声は、か細くて、小さかった。
咽頭を取り、再建手術を受けた。
舌の一部、左奥歯の辺りの歯茎も、取った。
声が出るようになると、
来る看護師さん、来る看護師さんが、喜んでくれた。
患者の回復を喜んでくれるのは、患者にとっても凄い力となる。
先生と違って、感情を出してくれるのも、とても嬉しかった。
勿論、家族や親戚も喜んでくれた。
かすれる様な、小さな声。
別人の声になっていた。
そして、
もっと驚いたのは、活舌が絶望的だったこと。
事前に聞いていなかった副作用、もしくは合併症だった。
どの位悪いかと言うと、全く話が通じない事がほとんどだった。
「はい」や「いいえ」は、伝わる。
ショックだったのは、
話している内容が分からずに、筆談を要求された時だった。
またしても、筆談かと落ち込んだ。
発声に関しては、リハビリは無かった。
少しづつ、
活舌も良くなるのだろうかとうい思いを抱いていた。