日本・スイス国交樹立150周年記念で、
スイス・ロマンド管弦楽団が来日し、
7月12日、日本公演の最終日を熊本で聴きました。
ファゴットで38年も同楽団で演奏したきた日本人が、
きょうで引退するため、
すべてのプログラムが終わったとき、
指揮者へ贈られた花束を、
指揮者がその奏者へ渡すシーンがあり、
感激してしまいました。
毎年のように熊本に来ている指揮者・山田和樹さんは、
今年だけでも3回目です。
今回は、同楽団の首席客演指揮者であることから、
率いて来られることで期待がありました。
オネゲル(1892~1955)は、ドイツ系スイス人。
スイスの楽団らしく取り上げてあり、
熊響定演でも振られたオネゲルの曲の続編のようで、
今回は蒸気機関車を表現してある様子を感じ取れました。
ヴァイオリンの樫本大進さんの演奏を聴くのは2回目で、
好きなチャイコフスキーの協奏曲。
大きく進むという字のお名前に、
演奏までも表すに尽きると言ってよく、
音楽評論家であればどんな言葉で表現するのでしょう。
新聞より
約40分の協奏曲が終わった瞬間、
指揮者とやったー!!という感じで抱き合って、
私の予感にすぎないのですが、
日本公演で5回の共演の最後であったわけで、
特別な感情があったのかもしれないし、
いちばん上手くいった演奏であったかもしれません。
多くの人が手を高く上げて感動を表現し、
ブラボーと言う人がいないほどの感動があることを
初めて知りました。
普通、良かった・感動したというときは、
必ず何人も大きな声でブラボーが聞こえてきます。
それを通り越して声が出ないことがある感動。
見えない力で動いているような不思議な感動。
言葉はいらない、手で表現して相手に伝える。
観客のほとんどは、同じだったかもしれません。
この表示には間違いがあり、
ガボットではなく、ルール(Loure)。
拍手は鳴りやまず、アンコールのソロも終わると、
休憩時間は、チョー珍しく一緒に行った夫の席(離れていた)
へ行き、凄かった!! 本当に凄い!!と言いに行かざるを得ない
気持ちでした。
夫もこの曲は好きでCDでよく聴いていたらしく、
生演奏で聴くよりCDのほうがいいように聴こえると言い、
「バイオリンの音を録音のときに、よく拾ってあるからよ!」と、
妙な会話がありました。
後半は、30代前半くらいのとき、
朝晩の通勤で音量も大きくして聴き入っていた
思い出のあるベルリオーズの幻想交響曲。
20代前半の頃から、
海外からのオケには欠かさず行っていたため、
プログラムの曲が入ったCDを、
通勤時間を利用して繰り返し聴き、
当日までに全体のメロディを覚えるようにしていました。
当時の車や通勤の様子が浮かんだりしながら、
きょうは聴いていました。
アンコールのファランドールでは、
プロヴァンス太鼓を叩く人が前に出てきて、
最後は指揮台に上がって叩き、
その演出で、観客は手拍子をして盛り上がりました。
楽しませてもらえました。
左が山田和樹さん、右が樫本大進さん。
あんなに長いサイン会の列は見たことがありません。
長いからか流れが早く、一人一人があっという間に。
プログラムによると、お二人は同い年でベルリン在住、
プライベートでも親しいようです。
しかし、初共演は日本へ来る直前の6月29日で、
この日本公演でさらに深まったに違いないでしょう。
若いお二人の音楽が歳を取るにつれて、
どう表現が変わっていくか、
長生きしないと聴けないなと思いました。
![]()
県劇メールマガジンより貼り付け
公演をお聴きになられた熊本大学教授、国枝春恵さんから
いただいた感想をご紹介します。
山田さんのバトンさばき、
耳の良さが冴えたオネゲル:パシフィック231、
スイス・ロマンド管弦楽団のブラスの重低音が響きました。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲は、
樫本大進さんの豊かな抒情性、美しく甘いヴァイオリンの響き、
そしてオーケストラの伸びやかな音空間。
特に2楽章のソロの繊細さ、そして緊張感は、
満員の聴衆を魅了しましたね!
また、それに呼応する木管楽器の柔らかい音質、
隅々まで響きわたる弦楽器群の帯。
そして、3楽章のスリリングなアンサンブルの妙技が、
山田さんの巧みな指揮で繰り広げられ、最後まで圧巻でした。
樫本さんのアンコールの無伴奏パルティータ3番のルールは、
それまでのエネルギッシュな弾き方と対照的な
整頓された静謐(せいひつ)な音楽でした。
休憩後のベルリオーズ:幻想交響曲は、
山田さんの頭脳明晰な演奏で、
各テーマやフレーズの表現の振幅が大きい、演出力、
ショウマンシップ満載で、
コンサートホールの時空が一つとなった素晴らしい世界でした。
華やかな金管楽器の響きや、卓越した木管楽器の旋律線、
弦楽器の変化に富んだ音色、オーケストラ団員全員が、
一丸となって山田さんの棒に付いて行き、
彼を信頼しているのが、良くわかりました。
2曲目アンコール、ファランド-ルでは、
太鼓奏者が叩きながら指揮台まで歩いて来て、観客を喜ばせ、
また会場から手拍子が起こるという、稀にみる楽しい時間でした。








