お互い子供なりに色んな事を考えていたと思います。
僕はとにかく、出来るのかって自問自答していた。雇ってもらえると決まってから急に細かい事までリアルに考えてしまってた。
風邪をひいても頑張れるのか?
新聞ってどうやって配るんだ?
家を間違えて配達したらどうなる?
すぐに辞めたくなったらどうしよう?
おじさん、怖そうやな…
などなど。
雇ってもらえた嬉しさより完全に不安が頭の中を支配していた。正直、後悔もしていた。
自転車を我慢したら新聞配達なんてしなくていいのにと…
そんな時、兄が
『2人でやるから大丈夫やろ。』
と、ポツリ。
『そうやな。』
僕はそれ以外の言葉を言ってはいけない様な気がして呟いた。
とにかく、もうやるしか無い!
後戻りは出来ないと自分に言い聞かせました。
帰って母に報告したら、
『そうかー、頑張りや。よく雇ってくれはったなー。ちゃんと続けなあかんで。
自転車、買ってあげられんでゴメンな。
でもな、そうやって自分らで頑張って買えたら絶対にあんたらの財産になる。
今日はあんたらの好きな麻婆豆腐したるからな。』
母が申し訳無さそうにしてるのが凄く悲しかった。
だから、頑張ろうって思った。
夕飯に僕達が大好きな麻婆豆腐を作ってくれた。我が家の麻婆豆腐はネギがたっぷり入ってて、一度に沢山作り、中華鍋のまま食卓の中央に置かれる。そしてお玉ですくってご飯にかけながら食べるのが我が家流。
いつもなら、夢中で食べるのだが頭の片隅に明日からの事が離れない。
それでも必死で麻婆豆腐とご飯をたいらげた。
寝床に着く前に兄が
『頑張ろな。』と、言って部屋に入って行った。
布団に入り目をつぶったけど、長い時間眠れなかった。
気がつくと朝になってたのを鮮明に記憶している。
つづく