スイスの東北ぐるり旅 2003年

9 ルツェルン(1)

 

 ドイツから知人のJ夫妻がルツェルンにやって来た。二人はドイツ人と言っても住んでいるのはバーゼルの郊外だからスイス人と大して変わらない。ルツェルンには息子さんが小さい頃に交通博物館に連れてきたことがあるけれど、もう10年以上来ていなかったそうだ。

 

 

 

 4人で旧市街背後の丘に伸びるムゼック市壁を散歩する。壁に付随する監視塔が何本かあり、大きな時計のついた塔は部屋の窓からも見えていた。

 

 

 

 

 今日はよく晴れている割にあまり暑くない。水蒸気も上がっていないようで、アルプスの山並みが幾重にも連なって見えている。

 川沿いのテーブルで昼食にする。コッペパンくらいのサンドイッチがひとつ6.5フラン(560円)もする。我々はともかく、ドイツ人は昼食がディナーのはずでこんなもので足りるのだろうか。

 

 

 昼食の後は、湖岸に出て交通博物館まで歩く。だんだん気温も上がってきたようで、さすがに喉が渇いた。湖畔の売店でリベラを買って飲み干す。リベラというのは、スイス人お勧めの栄養飲料で、オロナミンCのような味がする。成分を見ると乳清も入っているところがご当地ふうなのか。赤はノーマル、白はダイエットで緑はグリーン・ティー入りだそうだ。

 

 

 ここまで中心部から歩いて1時間20分もかかったので、船で帰ることにする。桟橋にはかなり人の列ができている。しかし16時台にはルツェルン行きが立て続けに3本も来るので、乗ってしまえばさしたる混雑ではない。運賃は半額カードがあるので1人2フラン(170円)にしかならない。

 

 

 船は駅前の桟橋に着いた。湖の航路はどう考えても観光用であるが、桟橋の施設には少しも安っぽさがない。もちろん、土産物屋などはあって、絵葉書が1枚80サンチーム(70円)と他の店よりもかなり安い。

 

 

 駅でJ夫妻と別れて夕飯を買いに商店街のスーパーマーケットに行く。ここは長年にわたって工事中だったところで、黒くて四角いマッスが立ち上がっている。外観は異様であっても内部は広々としていて、地下の食料品売り場には動く歩道の斜路が設けられている。

 この斜路は、ベルト部分を横から見ると台形になっているので、乗り始めと終点近くとで足元ががたがたして乗り心地が悪い。目の見えない人への合図になっているのだろうか?

 ここではアスパラガス・サンドイッチやサーモン・サンド、それにポテトサラダを買っておく。20粒くらい入った地元産の大きなサクランボが65サンチーム(55円)、350グラム入りの桃ジャムが2.1フラン(180円)とお買い得なのでこれらも購入する。

 

 

 湖畔に舞い戻ってマロニエ並木の下のベンチで夕飯にする。今日は比較的過ごしやすい気温とはいえ、十分に暑い。桟橋に腰かけていた姐さんがいきなり服を脱いだかと思ったらすっぽんぽんになって湖面に飛び込みどこかへ泳いでいった。

 サンドイッチを食べ終わったちょうどその時、沛然たる驟雨となった。沖合に出ていたヨットが続々と戻ってくる。ペダルボートも必死で漕いで帰ってくる。雷まで鳴り出したのでホテルへ戻ろうと歩きだしたら同行者の靴のヒールが取れてしまった。仕方がないので裸足になって歩く。石畳は暖かくて気持ちいいけど、アスファルト舗装は冷たいのだと言う。

 

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