建築と空間 イタリアの巻 1994年

27 マルティナ・フランカ 

 

 

 チステルニーノからの帰り、列車を乗り換えるついでにマルティナ・フランカに立ち寄ってみる。この街は鉄道の分岐点でもあり、人口もこれまで訪れた町の数倍はある。地図を見ると、不定形の細街路が絡みあう旧市街と直行街路の新市街とが対照的で、北アフリカのアラブ都市のようだ。特段の見どころがあるわけでもないのに、ガイドブックにも掲載されている。

 

 

 

 

 

 

 

 駅から数百メートル歩いて旧市街に入ると、ここも「白い街」である。これまで訪れた小さな町と比べると格が違うというべきか、建物も路面も整備が行き届いている。

 

 

 

 旧市街の中央には、マリア・イマコラータという広場がある。街路の一部が膨らんだかのような楕円形の小さな広場である。その膨らみに沿って作られた湾曲したアーケードが特徴である。この列柱の曲線が何とも言えずいい味わいをしているのだ。

 設計者の名前などわからない。いくつかの建物にまたがった回廊だから、いつの間にか形成されたものかもしれない。「建築家なしの建築」の居心地の良さを南部に来てからずっと感じている。

 

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