建築と空間 イタリアの巻 1994年

4 ローマ(4)

 

 

 

 パンテオンから西へ200メートル程のところにナヴォナ広場がある。例によって真っすぐ道が繋がっているわけではない。

 広場には北からネプチューン、四大河、ムーア人と3つの噴水が並んでいて、後の二者はベルニーニの設計だ。広場中央の西側にはサンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会が建っている。こちらはボッロミーニの設計ということだが、端整な外観ではあってもボッロミーニらしさは感じられない。ここでは、クリスマス市の露店やメリーゴーランドを眺めている方が楽しい。

 

 

 路地を抜けてテヴェレ川に出る。下流に歩いて行くと堤防道路の際に小さな教会がある。この教会こそ、ラファエロの建築家デビュー作なのだ。湿気て薄汚れた教会は、訪れる人もいない。

 

 

 テヴェレ川から一本入ったジュリア通りを歩く。左右にはパラッツォが並び、道にはアーチもかかっている。

 

 

 このあたりは古代ローマでも中心的な場所だったはずで、カンポ・デ・フィオーリ広場には露店の市場が出ている。こちらは野菜や果物が中心で、日常の買い物に来るところだろう。

 

 

 

 さらに路地へ入り込むとスパーダ宮にたどりつく。小さな広場に面しているのだが、その広場が車に埋め尽くされているのが惜しい。このパラッツォにはボッロミーニ作の遠近法の間なるものがある。錯視を利用して実際以上の奥行を見せている由であるが、中に入れるわけではないので効果を実感できない。

 

 

 路地を彷徨するうちに、遺跡を発掘した広場状の場所に出た。アレア・サクラなるローマ時代の神殿の遺構だそうで、現代においてはネコの住みかと化している。「ネコの住みやすい街は人も住みやすい」と書いていたのは林丈二氏だったか。「ネコのエサやり禁止」などという貼紙が見られるどこかの国とは違う。

 

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