UK & EIRE 周遊 1995年
ダブリンのコノリー駅に戻ってきた。掲げられた時刻表のセンスは良くても、コンコースは相変わらずガランとしている。エスカレーターを降りると塔屋やアーチを備えた石造りの重厚な駅舎が構えてもいる。しかし駅前広場もなく、人影少ない通りは既に深夜であるかのようだ。
ホテルのサインもただ一軒しか見えない。そのノーススター・ホテルに投宿する。部屋代を値切ったせいか、階段を上がったり下りたりして防火扉を3つも通り抜けた先にある部屋であった。壁の向こうから高架線を行く電車の音が響いてくる。B&Bと違ってクラシックなスチーム暖房なので暖かい。
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昨夜はわびしい所としか思わなかった駅周辺であるが、1ポンドショップなぞもあって、昼間は人通りもそこそこある。駅前通りのタルボット・ストリートを300メートル程行くと、交差する通りにB&Bも並んでいた。さらに進むと通りの名はヘンリー・ストリートに変わりペデストリアン・モールとなって、ショッピングセンターやデパートが現れる。路上には露店が並び、乳母車のようなカートで商売している人もいる。馬車が現役なのもアイルランドらしい。
衣料品の店に入ってみる。服はハンガーからずり落ち、床は綿ぼこりだらけ、タグの切れ端だらけである。他の店でも同様だったから、こちらの流儀なのだろう。
街の中心を流れるリフィル川をハーフペニー・ブリッジなる歩行者用の橋で南岸へ渡り、ゲートをくぐる。路面が石畳となって旧市街の趣がある。その先のグラフトン・ストリートも歩行者専用となっていて、北岸にも増してすごい人通りだ。
道端に鋸を楽器として弾く人がいる。イギリスものの子ども向けドラマで見たことはあったが、実演を見るのは初めてだ。
通りの先にあるセントステファンズグリーン・ショッピングセンターに入ってみる。エスカレーターを上がって中央の大きな吹き抜けを見下ろす。1階の平場に透明な屋根を掛けたブースが並んでいる。
アブラケバブラなるチェーン店でファラフェルとドネルケバブを食べて駅に戻った。