UK & EIRE 周遊 1995年

4 ヘクサム

 

 

 

 ダラム駅前に立って、もう一度町の全景を眺める。天気が悪いせいか、夜景で見たときよりも重々しい感じがする。

 次は、古代ローマ帝国が残したハドリアヌスの城壁へ行こうと思う。基地になるのは内陸のHexhamなる町で、乗り換え時間も含めて1時間弱の道のりである。駅の窓口で「ヘイシャム」と言って片道切符を買う。24ポンド(4100円)もする。これまたベラボーに高い。

 

 

 

 ニューカースルでグレートブリテン島を横断するローカル線に乗り換える。羊の多い丘陵地帯を見ながら、ヘイシャムに着いた。この町はハドリアヌスの城壁観光の拠点ではあるが、バスは季節運行で冬季の今は運行していない。ガイドブックを見ても町に関する記述はなく、主だった遺跡へはさらに先の小駅からが近いらしい程度のことしかわからない。

 

 

 駅舎を出ると広い駐車場があり、そのむこうの丘の上に旧市街らしき街並みが見えている。歩いて行くと旧市街の入口にインフォメーションセンターがあった。しかし、B&Bはいずれもタクシーで行くほど遠いところにあるのだという。町の地図をもらい、中心部をひと回りしてみたが、なるほど、ホテルの看板も見当たらない。この町に泊まるのはあきらめようと、駅へ戻る。ハドリアヌスの城壁への徒歩ルートの地図ももらったのに役にはたたない。

 駅まで戻って来ると、さっきは自分の背後になって気付かなかったステーション・ホテルの看板が見えるではないか。階下のバーでさっそく当たってみると空きがあるというので喜び勇んで投宿する、1泊たったの15ポンド(2500円)で、ダブルベッドひとつにシングルベッドが3台もついた過分な部屋であった。

 

 

 

 荷物を置いて、もう一度中心街へ出かける。モットホールという石造りの門をくぐるとマーケットプレイスで、この町でもここが中心だ。広場の片側に屋根が作られていて市場になっている。

 

 

 

 南に伸びるフォアストリートも繁華街ではあるものの、200メートル程で大通りに突き当たっておしまい。そこはタクシー乗り場になっていて、夕方になると人々が次々と乗り込んでゆき、通りの人影はみるみるうちに減ってしまった。食べ物の店もパン屋などどんどん閉店してしまう。

 何気なく入った薬局で、CodLeverOilの棚を見かけた。他の商品よりもはるかに売場占有率が高い。北国では冬にビタミンDが不足するのだろう。肝油はサメから採るものだと思っていたが、こちらではタラの方が一般的らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この町の教会はAbbeyと称している。大聖堂にも引けを取らない立派な堂宇で、ケルト風の組みひも模様の石碑などが無造作に置かれている。

 

 

 裏手に回ると家並みの間にふたつのアーチが残っている。Wilfrid‘s Great Cathedralの遺構だとある。修道院とは別に大聖堂があったのだろうか。

 

 

 裏通りを徘徊すると、ガラスエッチングが素敵なのパブを見つけた。ギネス1パイントで1.75ポンド(300円)。特に冷やしてあるわけではなく、この方が美味しいと思う。

 駅前にある大きなスーパーマーケットで夕飯を仕入れる。酢でしめたニシンのオニオン巻き、酢漬けのムール貝など酸っぱいお惣菜が多い。カレーですらリンゴや干しブドウが入っていて辛さより酸味の方が勝っている。

 

 

 ところで、Hexhamの発音であるが、インフォメーションセンターの人は「ヘクサム」と発音していた。改めて手元の切符をみると行先は「Heysham」と印字されている。

 調べてみるとヘイシャムは西海岸に面した港で、ダラムからの距離はヘクサムの3倍もある。イギリス国鉄の運賃がベラボーなわけではなかった。

 

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