南アメリカ鉄道旅行で視力回復 1991年
13 バルパライソのアセンソール群
山が海に迫ったバルパライソの街には、アセンソールというケーブルカーが十数本もある。これほどケーブルカーの多い街を他に知らない。
プエルト駅から歩いてゆくと、ビルの隙間にアセンソール・トゥーリの駅が見つけたので、早速乗ってみる。上の駅を出ると展望テラスになっていて、港の眺めが開けている。
そこから入り組んだ路地に入り込んでみる。垂直な壁のはるか上にそのまま3階建てのアパートが建っていたり、180度折り返してまた直角に曲がり階段を降りふいに大きな通りに出たりする。
酔っ払いの爺さんが若い警官に腕を捕られて急坂を連行されていく。その後を奥さんが声を枯らして追うけれども、息が続かず喘いでいる。
男女がくっつきあっている小路の角を曲がると、ふいにまたアセンソールの駅が現れた。アセンソール・エル・ペラルの上の駅である。今度は下ってみる。下の駅はビルの中にあり、おもてに出るとソトマヨール広場の一角であった。
広場を越えた路地の先には、また別のアセンソール・コルディリェラがある。街全体がこういった調子で、これは楽しい。
しかし、街歩きに関しては注意が必要である。危ないと言われているペルーやブラジルを旅行するときは用心しているから意外と強盗などの被害には遭わないが、チリまで来ると気が緩んでやられるのだという。実際、丘の上の路地の奥は治安が悪いのだ。
アセンソールの料金は統一されていて、上りが50ペソ(20円)、下りは40ペソ。但し、日曜祝日は下りも50ペソになる。料金は下の駅で払う場合が多いが、アセンソール・コルディリェラのように例外もある。
下の駅にはたいていおばさんが詰めていて料金収受係を務め、上の駅にはおっさんがいて巻き上げ機を操作している。夫婦でやっているのだろうか。
料金を払うと小さな羽根のついた回転式の改札口を通してくれる。羽根はペダルで回転し、人数のカウンターがついている。
搬器は横から乗るタイプもあれば、正面から乗るものもあり、室内にはたいがい片側に木のベンチが作られている。2本のレールの間にラックレールも備えてあるのが大半だが、これもアセンソール・モンハスのように例外はある。
バスターミナルの地図によればアセンソールは全部で16本あるらしい。その中には入口が鉄条網でふさがれて、久しく運休中らしきものも含まれている。その他に明らかな廃線も目にしたから、かつてはもっと路線があったのかもしれない。
<Ascensor Artilleria>
<Ascensor Cordillera>
<Ascensor El Peral>
<Ascensor Espiritu Santo>
<Ascensor Turri (Conception)>
<Ascensor Mariposa>
<Ascensor Monjas>
<Ascensor La Cruz>
<Ascensor Carlos Van Buren> 病院の敷地内にある
<Ascensor Los Lecheros>
<Ascensor Las cañas> 廃線
<Ascensor Larrain>
<Ascensor Los Lecheros>