バルト三国+ベラルーシの巻 2019年

7 レントヴァリス城

 ゲディミナス城へのケーブルカーは利用したけれど、これを鉄道といっていいものか?ヴィリニュスにトラムはないから、ここは本格的な鉄道に乗らねばなるまい。そこで近郊にあるレントヴァリス城を訪れることにした。この近辺で有名な城といえばトラカイ城が第一に挙げられるが、どのみち再建されたものだし、今日は定休日である。

 

 

 

 市街の南端にある鉄道駅まで歩いて行く。ルネサンス風の駅舎で、外観はバランスが悪いが、内部は美しい。

 レントヴァリスまでの所要時間は20分前後であり、毎時1~2本は便があるのだが運転間隔が不揃いで利用しにくい。往復で買うと復路が15パーセント引きになる。しかし、列車が指定されてしまうし、もともと運賃が安いのだから片道ずつ買った方がよさそうだ。1ユーロ也の運賃を払って買った切符はレシートで、まったくもってつまらない。

 

 

 駅舎の一部に鉄道博物館がある。鉄道そのものの展示よりも、ソ連時代に駅で使われていたコインロッカーや炭酸水の自動販売機の方が興味深い

 

 

 

 発車時間が近づいたのでホームに出ると、屋根のないホームの先の方に、真新しい2階建ての電車が停まっている。側面にはリトアニアの国章である剣を振りかざす騎士が描かれていてデザインも秀逸だ。

 

 

 市街地を出るとたちまち時速120キロメートルまで加速し、揺れも少ない。快適かつ廉価な列車なのに各車両に数人程度と空いている。この列車はカウナス行きであるが、中央駅の二つ手前までしか行かないから、そのせいかもしれない。

 車掌が検札に来て、レシート切符のバーコードを機械に読み込ませる。

 


 

 レントヴァリス駅は一応ジャンクションだからか、ホームが4本もある。ホームを示す表示はPeronasとKeliasとがある。Peronasはプラットホームそのもののことで、駅舎側から1,2,3,4と振られている。

 一方、Keliasの方はTracksと英語が添えられているとおり、番線を表している。ところが、駅舎に接した1番線が2となっていて、以下、1,3,4,6,5,7の順になっているのだ。この「ポーランド式」表記法は未だに訳が分からない。

 

 

 レントヴァリスは小さな町なのに、中央通りを歩行者専用にしているのは立派だ。それにしても人影がない。ゴーストタウンのようである。

 

 

 

 

 

 駅の地下道を通って裏口から出る。1971年建設の少し古びた団地がある。その中に伸びる真っすぐな道を1キロメートルほど歩いて湖のほとりに出た。この城も湖畔に建てられているのだ。樹林に囲まれた湖の情景は侘しい。堤道を通って城の敷地に入る。

 

 

 

 

 城の本館は修復工事の真っ最中である。堤道の歩道には黄色い点字ブロックまで貼られていたから、近いうちに一般公開されるのかもしれない。公園となっている庭には自由に入ることができる。苑内を流れる小川の跡やパビリオン、門番の家などがあるけれども、これらの整備までは手が回っていない。そのかわりに小さな案内板が随所にあって、写真や図面で往時を偲ぶばかりである。

 

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