台湾四分の一周 一人二脚 2018年

3 南方澳漁港

 蘇澳新で自強号を降りる。

 蘇澳には楽しみが二つある。ひとつは郊外にある南方澳という漁港で新鮮な魚を食べること、もうひとつは街の中心部にある冷泉である。冒頭、温泉に行きたい話を書いたが、台湾の温泉についていろいろ調べているうちに、目に留まったのがこの冷泉である。冷泉なら暑い台湾にはピッタリではないか。しかも世界に2か所しかないらしく、希少価値も十分にある。

 蘇澳新駅は、以前、南聖湖と称していた。高原リゾートのような名前であるが、セメント工場があるだけの殺風景なところである。そもそも湖なんぞありはしない。列車から降りたのは自分一人で、他の乗客もいない。

 ここからバスでまず南方澳へ向かう。バス乗り場への案内は掲出されていたが、バスはなかなか来ず、しかも、やって来たバスは豆腐岬風景区というところを迂回していく系統であった。だが、このバスの眺めはなかなか良かった。南方澳の入口でわき道にそれると、高い位置にある南方澳大橋を渡り、港の対岸を行き造船所の脇を通り抜けたりするのであった。

 

 

 南方澳の街の反対側に出たところでバスを降りる。昭安宮という廟があって、そこから観景台へ登る階段が伸びているのだ。

 階段を上り始める。さっき小雨がぱらついたからか、特に湿度が高い。花蓮で買った白毫烏龍茶がたちまちなくなる。砂糖入りなのがかえって助かる。

 

 

 ところが、階段を登りきり、道路をくぐれば観景台というところまで来ると、歩道が通行止めになっている。ここまで来れば眺めはほとんど同じだから、まあいい。水路が3つに切れ込んだ漁港が一望の下だ。切れ込みの一番奥にはそれぞれ大きな廟があるのは、やはり海上安全を願っての事だろう。

 

 

 

 

 さて、同じ階段を降りて魚市場へ行く。ここは一応、観光用であって、午後の時間が入荷のピークだそうだから丁度いい時間である。漁船は日本で普通に見るものよりはるかに図体がでかく頑丈そうである。休憩したり網を繕ったりしている漁師たちは皆色が黒い。日焼けではなく元々色の黒い人種のようだが、「原住民」なのか出稼ぎで来ているのか、いずれにしても漢民族の顔立ちではない。

 

 ←こいつが ↓こうなる

 

 岸壁に面した店で黄色い縞模様の「熱帯魚」を買う。裏手に回ると「代客料理」の食堂がならんでいる。客に代わって料理をしてくれる店である。

 さっき買った「熱帯魚」を豆腐と生姜入りのスープに仕立ててくれる。見かけとは違い、淡白でやわらかな身の魚であった。

 

              南天宮から

 

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