ユーレイルパスの巻 1985年

3 イベリア半島の段

 目が覚めると、もう列車はポルトガルに入っていて、テージョ川沿いの平野を走っていた。陽射しがまぶしい。これまでとは違ってもう春の感じがする。

 

 

 

 そしてリスボン。今回の旅行で一番おもしろかったのがこの街だったかもしれない。既に最重要幹線は路面電車から地下鉄に置き換えられてしまっていたが、まだ多くの路線が街じゅうに張り巡らされていた。特に、通称「グラサ環状線」という、今もアルファマ旧市街に残っている路線には何度も乗り降りした。狭い路地を急カーブで曲がる角には小さな詰所があって、信号板を手にしたおっさんが立っていた。そして、ケーブルカー、対岸に渡る連絡船・・・

 

 

 

 

 さて、最後の訪問国はスペインである。しかし、ポルトガルとスペインの間の路線は、どうも近年不振らしい。トーマスクック時刻表から消えてしまった区間もあるし、現地で「列車はない」と言われた区間もある。バスならあったのかもしれないが、当時は長距離をバスで行くという発想自体が自分の中になかった。結局、大回りをしつつ、夜行列車でグラナダへ向かうことになった。

 

アンダルシアの夜明け

 

 グラナダといえば、もちろんアルハンブラ宮殿である。初めて触れるアラブ文化に魅せられて一周しただけでは飽き足らず、もう一度入場券を買って入り、心行くまで堪能した。

 

 

 

 

 宮殿に隣接する旧市街のアルバイシン地区を通って駅へ。旅の仕上げは、スペイン国鉄自慢のタルゴ列車でマドリードに向かった。

 

 

 

マドリード アトーチャ駅

 

 

[ユーレイルパスの巻 終わり]

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