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30代社会人、脊柱側弯症の記録

中1で特発性脊柱側弯症発症。32歳現在、手術を決めましたが悩みに悩んで中止。通院、その時の心境、保存療法(シュロス法、ゲンシンゲン)等について記録します。


 2025年6月末

 脊柱側弯症の運動療法(シュロス法)と装具採寸の予約日がやってきました。ゲンシンゲン装具の日本代理店を兼ねる接骨院はオフィスビルの一室にあり、思ったよりもこぢんまりとした雰囲気でした。
 休日ということもあってか両親と娘で話を聞きに来ている家族がいて、熱心な親御さんだなぁと横目に眺めていると自分の名前が呼ばれました。

 院長の問診では持参したレントゲンに基づく所見とともに、特発性脊柱側弯症の原因遺伝子や多く見られる合併症についての話を伺いました。遺伝子の話は病院での治療に関係ないためかこれまでの通院では詳しく聞いたことがなかったため、とても興味深いお話でした。
 持参したレントゲンデータでは、胸椎43度・腰椎50度程度ということでした。撮影した病院の診断では胸椎43度・腰椎55度だったため、同じ画像でも計測する人によって角度がこうも違うのかと少々驚きました(どちらが正しいのかは不明)。
 これまでも病院を変えるごとにコブ角が10度以上違っていたため時間帯や姿勢・計測者によってコブ角が違うということは知っていましたが、こうも誤差の大きい数字で一喜一憂するのは考えものだなと思いました。
 また、あれこれ病院を変えるのではなく同じ医師により定期的な経過観察を受ける重要性を感じました(念のため……接骨院は病院ではないためレントゲン撮影ができません。経過観察は病院の整形外科で行う必要があります)。

 一通りの説明の後、院長からゲンシンゲン装具によってコブ角が大きく改善する保証はない、特に成人の場合効果は個人差があるという話を改めて伺いました。私自身は、改善の望みは薄くとも進行を防げるならば装具を作りたいと思っていたため、了承の上でその日に装具の採寸をしてもらうことになりました。

 体型のスキャンデータを取るにあたり、黒い服は計測に支障があるということで着替えをお借りして再度問診の部屋へ。スキャンデータを取るということでMRIのような大掛かりな機械を想像していましたが、実際には360度回転する台の上に乗って光る棒を翳されながら台ごとぐるりと回転して測定が行われました。
 他にもメジャーで全身を計測され、念のためムダ毛処理をしてきてよかったとどうでもいいことを考えていました。装具は2〜3週間程でドイツから届くそうでした。

 測定後はシュロス法の第1回目の指導へ。トレーナーから2種の運動を学ぶとともに、普段の姿勢や座り方の注意点を教わりました。これまで真っ直ぐに立つ・座ることばかり意識してきましたが、曲がった背骨を改善させるためには左右非対称の姿勢を取り入れることが重要なようです。習いながらのたどたどしい動きでも腰のリブハンプが平らになる実感があり、今後の実践の意欲が湧きました。
 その日は初診料18,000円と装具代の前金80,000円を支払い、2時間ほどで帰宅しました。


 装具の完成を待つ期間は、善行のきっかけを逃すまいとする模範囚のように姿勢改善に目を光らせました。看守は他ならぬ、手術から逃げてこの道を選んだ自分自身です。
 毎晩習った運動を行うほか、職場のデスクに可動性のアームレストを設置したり片方の腰下にクッションを置いたりと、習った姿勢を常に取り続けながら仕事ができるように環境を整えました。
 シュロス法においてはみぞおちを前に出す姿勢が重要なようで運動療法のときに何度も注意されましたが、実際に生活の中で取り入れようとすると姿勢保持の筋肉そのものがないようで、2日目にはみぞおち裏の背中が酷い筋肉痛に襲われました。息をするだけで背中が痛く、いかに自分の背筋が貧弱かを思い知らされました……。
 それでもプロテインを飲みながら姿勢に気をつけていると徐々に筋肉がついてきたようで、1週間ほどで筋肉痛を感じることはなくなりました。次回の予約ではより本格的に運動療法を習うということだったので、少しでも体を慣らしておこうと思いました。

 次回はゲンシンゲン装具が完成したときのことについて書いていきます。