僕はたまに「青春18きっぷ」を使ってローカル線の旅をすることがある。
去年の3月、余った青春18きっぷで新潟に行った帰りに長岡に寄り、長岡からひたすら上越線を南下した。
途中から雪が降り出して魚沼や越後湯沢などの豪雪地帯を走り続ける間はすっかり真冬に逆戻りしたような景色だった。
ようやく清水トンネルを抜けて群馬に出ると、そこはもう雪のない晴れた日の普通の夕方の景色が広がっていて夕日が眩しかった。
列車が沼田駅に着いたときのこと。
女の子二人組が荷物をいくつも抱えて乗り込んできた。
彼女たちはドアを挟んで僕と反対側に座った。
きっと沼田からこの春上京でもして新生活を始めるんだろうなという感じの二人だった。
新しい生活への期待に胸を膨らませているのかちょっとテンションが高かった(笑)
列車はしばらく沼田駅に停車していたが、不意に片方の子が
「まゆ!ほら!!」と開いてるドアの方を指さした。
「うそ!?わたる君・・・!?」
もう片方の子が思わず声を詰まらせた。
ドアの外を見ると、ホームには夕日を正面から浴びたスラッとしたイケメンがひとりで立っていた。
今どきの、少し軽薄そうな外見の男子が神妙な面持ちで立ちつくしていた。
よっぽど意表をついたサプライズだったのだろう、その子は真っ赤になりながら半泣きで慌ててドア口に駆け寄った。
発車のベルが鳴り渡るなか彼は顔を少し紅潮させながら潤んだ目で静かに、だけど強く、
「頑張れよ。」
と彼女に声をかけた。
外国に行ってしまうわけでもないのに、メールもチャットもSNSもある時代なのに。
でも、なんかとっても素敵な光景だった。
今どきの若者も捨てたもんじゃない(笑)←完全にオヤジ発言
沼田駅を発車してから、彼女は窓の景色を見ながらしばらく細い肩をふるわせていた。
想いを伝えるって改めて素敵だなと思ったし、大切な人がいる故郷があるってなんかいいなとも思った。



