2024/6/7 小さいころに置いてきたもの⑤ | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

JET STREAM・・・作家が描く世界への旅。


今週は、俳優・ユニセフ親善大使の、黒柳徹子のエッセイ集『小さいころに置いてきたもの』の中から、「ヤンキー・スタジアム」の章を、番組用に編集してお届けしています。


今夜は、その最終夜。


テレビ番組『徹子の部屋』でイチローのファンになり、ニューヨークまで応援に出掛ける事になったが、人生初の野球観戦は驚きの連続。


5万人で埋まった、ヤンキースタジアムの熱い雰囲気を体験し、すっかり野球ファンとなって、日本に帰ってきた。


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1度、信じられない速い球が飛んでいって、イチローさんのグローブの中に入った。


「凄い!」


と思った瞬間、やはり相当遠い所から、イチローさんが走って球を捕ったせいか、その球がグローブから落ちて、転がってしまった。


この時、お客さんはなんと総立ちになって、喜んだ。


私は「むっ」としたので、座っていた。


でも、こういう口惜しいけど注目されるところが、イチローさんの人気だな、という事も分かった。


どっちのチームの選手か分からないけど、年俸30億円という契約のバッターが出た。


見てると、なんかピッチャーは投げるのに、萎縮しているように見えたのは、私の気のせいかしら?


ウェーブが来た。


ところがどういう訳か、途中で止めちゃう人たちがいる。


それに、遠くの客席からブーイングが起こる。


8イニング目から、マリナーズのイチローさんは守備に出なかった。


あと1回で10点は取れそうもないからだろうし、明日もあるから、と思ってたら、松井さんも出なくなった。


そんな訳で私たちも、5万人が出る時は、いくら整然としているといっても混むだろうから、と一足お先に失礼した。


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次の朝、ニューヨークを発って日本に帰ってきて、夜テレビをつけたら、翌々日のヤンキースタジアムの昼間の試合で、イチローさんがホームランを打っていました。


良かった!


5万人が、きっと


「ぎゃーーーーー!」


って、叫んでるんだろうな、と面白かった。


ただ、イチローさんが見たくて行った、ヤンキースタジアム。


[ヤンキースタジアム]


野球音痴の私には、猫に小判、豚に真珠、とお思いの方もいらっしゃるだろうけど、私はこれですっかり野球ファンになった。


あんなに広々と気持ちのいい所だとは、テレビを見ている時、想像もしていなかった。


時々どっちのチームが攻撃しているのかとか、守っているのはどっち?とか、分からなくなる事もあったけど、見てる人たちが、誰もが心を一つにして楽しもうとしている事が、嬉しかった。


誰もが、熱くなっていた。


イチローさん、松井さん、ありがとう!


他の選手の皆さんも、きっとあの2時間半は、誰もが苦しさも辛さも忘れて、楽しんだんだろうから。


それにしても、


「ナイターって、暗くてボールが見えるの?」


と思ってたのが、取り越し苦労と分かったのは、私にとっては大収穫だった。


不思議が消えて、見慣れない風景だけれど、野球場の夜は昼より明るい、とこの歳になって知ったのだから。


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