2024/6/6 小さいころに置いてきたもの④ | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

JET STREAM・・・作家が描く世界への旅。


今週は、俳優・ユニセフ親善大使の、黒柳徹子のエッセイ集『小さいころに置いてきたもの』の中から、「ヤンキー・スタジアム」の章を、番組用に編集してお届けしています。


今夜は、その第4夜。


試合は7回。


スタジアムに、『私を野球に連れてって』や、『Y.M.C.A.』の歌が流れ、選手への拍手やブーイングと共に、雰囲気は最高潮。


ヤンキースの松井秀喜選手への観客の大歓声も聞きながら、スタジアムでの野球観戦を楽しんだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


私は双眼鏡で、守っているイチローさんをじーっと見ていた。


気がついたら長いイニングで、30分近くも1回のヤンキースの攻撃で、イチローさんは立って守っていた。


ほとんどそっちに球が行かなかったので、イチローさんはあまり走る必要も無く、でも集中して30分も同じ所で守っているのも、大変な事だと感動した。


カールさんは私に、


「よくそうやって、30分もずーっとイチローさんを見て、疲れない?」


とか聞いたけど、


「私は野球やってる訳じゃないので、疲れるはずは無い」


と答えた。


そして、


「テツコは面白いね。


試合を全然見てないもの。


ずっと、外野だけ見ててね」


と言われたけど、私は


「そう」


と言って、外野のイチローさんを見ていた。


そうしてるうちに、確か7回の時、突然全員が立ち上がって、イチローさんのコマーシャルの曲が流れて、歌い始めた。


それは、イチローさんのコマーシャルに使われてるかもしれないけれど、元々は『テイク・ミー・アウト・トゥ・ザ・ボールゲーム(私を野球に連れてって)』と言う古い歌で、昔から野球場で歌われているのだ、とカールさんが説明した。


その後、『Y.M.C.A.』をみんなで歌う場面もあった。


芝刈り機みたいなものを持って、なんかお掃除しているおじさんたちが、お尻を振りながら、『Y.M.C.A.』に合わせて、フィールドで踊っているのも、面白かった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


場内アナウンスと言うか、解説が実に親切で、しかも興奮を煽りながら説明してくれる。


「フォアボール」と日本で言うのを、あっちでは「ウォーク」と言うのだという事も、知った。


ホームランか何かで、バッターの打った球が客席の中に入ると、トンボかセミを採るような、袋の付いた長い竿を持っているお客がいて、捕ろうとするけど失敗して、転がって下に張った網の上などに落ちると、これまた5万人が「ウォーーーーーー!」と、ブーイング。


本当に、みんな楽しむために、今日のために来ている、という事がよく分かる。


1回なんて、ヤンキースのバッターが、1人で4回もボールを客席の中に打った。


私はサービスなのかと思って、カールさんに聞いたら、そうではなくて、ファールか何からしかった。


でも、お客さんは大喜びだった。


マリナーズの選手が走り込んで、1点と思った時、アウトになった。


この時は、耳がつんざけそうな歓声になった。


それにしても松井さんは、大変な人気。


[松井秀喜]


「マ・ツ・イ!マ・ツ・イ!マ・ツ・イ!」


と、凄い声がかかった。


この日、松井さんは大ヒットの連続であれよあれよという間に、何点も入って、終わりの方では2対13に、なってしまった。


それでもイチローさんは、辛抱強く守っていた。


【画像出典】