2024/4/17 光と虹と神話③ | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

JET STREAM・・・作家が描く世界への旅。


今週は、自然写真家 高砂淳二によるフォトエッセイ『光と虹と神話』より、一部編集してお送りしています。


今夜は、その第3夜。


世界最大の滝、イグアスの大いなる水の世界へ、あなたをお連れします。


番組WEBサイトの、高砂淳二の写真と共に、お楽しみください。


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アルゼンチンとブラジルの2国にまたがる、世界最大の滝イグアス。


アフリカの、ジンバブエとザンビアの国境にあるビクトリアの滝、カナダとアメリカの国境にあるナイアガラの滝と共に、世界三大瀑布と言われている。


大小300近くもの滝が4キロに渡って連なり、雨季にはなんと毎秒65000トンもの水が、流れ落ち続けている。


[イグアスの滝]


一日の水量としては、ロンドンが一年で消費する水の量と同じであり、1分間の水量は東京ドームおよそ3杯分にもなるという。


規模・水量共に、三大瀑布の中でも群を抜いていて、少し離れた場所からでも、水煙が空に湧き上がるのが見えるほどだ。


イグアスとは、先住民のグアラニー語で、"大いなる水"という意味を持つ。


イグアスを見ていると、水が地球規模で循環している事を、実感する。


水は、雨となって空から降り注ぎ、川となって流れ、大地に染み込み、動植物の体内を通り抜け、蒸発して、また雨となり、永遠に循環を続けていく。


まるで、地球の血液であるかのように、水は様々な養分や情報を受け取りながら、それを地球の隅々まで運んでいるのだ。


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そもそもイグアスは、1億年以上も前に出来た、玄武岩と言われる岩石の巨大な割れ目だ。


そんな硬い岩を土台に持つイグアスは、100年で30センチずつ水に削られながら、上流に後退しているという。


軟らかい水が時間をかけて、滝を後退させ、川の形を変え、島の形を変える。


地球上の、削った方がいい場所を削り、堆積させた方がいい場所を、土を集めて埋め立て、ゆっくりと地球を整えて、動植物を住まわせていく。


流れに任せたままの雄大なイグアスを見ていると、水のはたらきや大切さが、直接伝わってくる。


そもそも、僕らの体の3分の2は、水で出来ている。


毎日多くの水を飲み、食物から水分を吸収する事で、体の中の水は常に外の水と入れ替わり、新鮮な状態が保たれている。


大いなる水が汚れる事は、そのまま僕らの中の水も、汚れるという事だ。


先住民であるグアラニー族が、聖地に名付けた"大いなる水"という言葉には、汚してはならない、偉大で大切な水といったニュアンスも、込められているに違いない。


地球の水には今、マイクロプラスチックや、さらに細かくなったナノプラスチックが大量に含まれてしまってるという。


[マイクロプラスチック]


プラスチック片には、化学物質を付着させる性質があり、細胞膜をも通り抜けてしまうナノプラスチックと、それに付着した化学物質が、人間を含む生物組織にダメージを与える事が、危惧されている。


大いなる水の惑星は今、危機を迎えているのだ。


【画像出典】