2024/1/30 生命海流 GALAPAGOS② | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

JET STREAM・・・作家が描く世界への旅。


今週は、生物学者 福岡伸一の紀行エッセイ『生命海流 GALAPAGOS』を、番組用に編集してお届けしています。


今夜はその第2夜。


ガラパゴスに、行きたい。


生物学者・福岡伸一は、200年近く前に、ダーウィンの乗っていたビーグル号の航海をなぞりながら、独自に進化した奇妙な生き物を、実際にその目で見てみたいと思っていた。


ガラパゴスには、3つの謎があるという。


1つ目の謎。


奇妙な生き物たちは、この絶海の孤島で進化してきた。


だが、どうやって島に辿り着いたのだろう?


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ビーグル号は、タヒチ、タスマニア、ココス、モーリシャスなど、今から見ると高級リゾート巡りをしているかのような航路を辿って、5年に渡る世界航海を行った。


少なくとも、ガラパゴス諸島の旅に関してだけでも、チャールズ・ダーウィンと同じ航路を辿って、彼が見たであろう光景を、彼が見たはずの順番で訪れてみたい。


一体、ガラパゴスの何が、彼の目を見開かせ、彼の想像力を掻き立てたのだろう?


それを、追体験したかった。


これが、私の贅沢な夢だった。


ガラパゴス諸島には、大きな謎が3つある。


それは、現在でもなお、解決されていない。


その謎に、少しでも近づきたいというのが、今回のこの旅における、私の切なる願いだった。


しばしば"ガラパゴス化"などと言われるように、ガラパゴス諸島は隔絶された環境で、独自の進化を遂げた結果、ある種の袋小路に入り込み、世界から取り残されてしまった場所、という風な揶揄的な言い方で使われる事が多い。


日本の"ガラケー"という言い方が、その好例だ。


ガラケー、つまりガラパゴス携帯電話は、作り込みで多様な機能を搭載し、特別な方式でインターネットにも接続できるようになったが、いずれも日本固有の仕様だったため、世界標準のスマートフォンの上陸と共に、駆逐されてしまった。


今日日、二つ折りのガラケーを操作しているのは、ごく僅かな人たちである。


しかし、本当のガラパゴス諸島は、決して世界から取り残されてしまった場所ではない。


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ガラパゴス諸島は、むしろ世界最先端の進化の前線にあると言っていい。


ガラパゴス諸島は、決して古い場所ではない。


むしろ、地球史的に見ると、極めて若い島々だ。


アジア、アフリカ、北南米などの大陸に比べてずっと後になって、海底火山の隆起によって作られた、ごく新しい環境なのである。


[ガラパゴス諸島]


大陸は何億年も前から成立していたが、ガラパゴス諸島は古い島で、誕生から数百万年、新しい島では数十万年しか、経過していない。


そこにどこからか奇跡的に、限られた生物が辿り着き、何とか生態的な地位を切り開き、生息を開始した。


進化は始まったばかりであり、これからこそが、本番なのである。


それにしても、彼ら彼女らは、どこからやってきたのだろう?


一番近い南米の大陸からでも、海上1000キロも離れているのだ。


翼を持った鳥たちは、辿り着けたかもしれないが、泳げないリクガメたちは、どうやってやってきたのか?


仮に、流木に捕まって流されてきた、稀なケースがあったとしても、この島で繁殖するには、少なくとも1対のつがいが必要となる。


そして何よりも、出来立ての火山島には、植物も土壌も、そして水さえも、ほとんど無かったはずなのだ。


しかも、彼ら彼女らはいかにして、独自の進化を遂げる事ができたのだろう?


【画像出典】