2024/1/29 生命海流 GALAPAGOS① | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

JET STREAM・・・作家が描く世界への旅。


今週は、生物学者 福岡伸一の紀行エッセイ『生命海流 GALAPAGOS』を、番組用に編集してお届けします。


今夜はその第1夜。



生物学者、福岡伸一。


昆虫を追って野山を巡った少年は、生命の不思議に心を奪われ、やがて生物学者となった。


そして、生命の神秘を伝えるために、ナチュラリストとして、魅力的な文章を書き続けている。


福岡伸一の夢は、南太平洋に浮かぶガラパゴス諸島を、チャールズ・ダーウィンの航路と同じように、旅する事だった。


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ガラパゴスに、行きたい。


これは、ナチュラリストとしての、長年の夢だった。


プロの研究家も、アマチュアバードウォッチャーも、7歳の虫好きの少年も、みんなナチュラリストである、という点では同じ。


そして彼らは、等しく願う。


生涯一度でいいから、絶海の果てに位置するガラパゴス諸島に行って、溶岩と巨石に覆われ、絶えず波に洗われる岩壁に生息する、独自の進化を遂げた奇跡的な生物を、実際にこの目で見てみたいと。


ずっと昔から、そう願ってきた。


とはいえ、私の夢はもう少し、手が込んでいた。


ただ観光客として、ガラパゴスを見に行くのではない。


今を去る事、200年近くも前の秋。


遥かな航海の果てにこの群島に辿り着き、ここを探検したビーグル号と同じ経路を辿って、島が見たかった。


ビーグル号には、かのチャールズ・ダーウィンが乗っていた。


後に進化論を打ち立てて、生命史に革命をもたらした人物。


しかし、そんな事はできるはずがない。


ビーグル号の正式名称は、ハー・マジェスティーズシップ・ビーグル。


つまり、女王陛下の船だった。


全長27.5メートル、排水量242トン。


実戦が可能な大砲6門を搭載。


英国精鋭の軍人74名の船員が乗船する、本格的な軍艦だった。


[ビーグル号]


当然、装備も資材も豊富に積まれていた。


だからこそ、自由自在な航路を、取れたのだ。


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当時、ダーウィンはまだ22歳。


船長フィッツロイのコネで、たまたま随行を許された、民間の客人だった。


生物学に興味を持っていたとはいえ、後になって種の起源として結実する進化論の構想は、何一つとして彼の心の中に、準備されてはいなかった。


一口にガラパゴスと言っても、そこは大小様々な島や岩礁が散在する群島である。


名前の付いている島は、全部で123の島。


主要な島だけでも13あると言われており、それがおよそ関東地方くらいの広い範囲に分布している。


ダーウィンの乗ったビーグル号は、1835年9月15日に、ガラパゴス海域東端のサン・クリストバル島に到着した。


その後およそ1ヶ月かけて、数少ない水源のある島フロレアナ島、6つの火山を擁するガラパゴス最大の島イサベラ島、イサベラ島と今も火山活動が激しい島フェルナンディナ島の間の、狭い海峡をくぐり抜けて、赤道を超えサンティアゴ島などに寄港し、調査と測量を行い、1835年10月20日、次の調査地であるタヒチ島に向けて、太平洋を西に進んだ。


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