北はハワイ諸島、南はニュージーランド、東はイースター島。
この3つの島々で結ばれた三角形の文化圏を、"ポリネシアン・トライアングル"と呼ぶ。
ハワイとニュージーランドの距離は、およそ8000キロ。
その広大な海原に広がる南太平洋の島々に暮らす人々は、芸術や文化、伝統や宗教といったものが驚くほど似ている。
[南太平洋]
人類学者の間では、今から3500年程前に、サモアとトンガで育まれた文化。
それが、タヒチからハワイへと、海を渡っていったと考えられている。
ハワイにポリネシアの人々が移り住むようになったのは、4世紀から8世紀頃にかけて。
日本では、飛鳥時代に当たる。
その広大な太平洋を渡るのに使われたのが、ハワイの言葉で"バア"と呼ばれる、アウトリガーカヌーだった。
1本の木で作られるカヌーは、安定性が極めて悪い。
そこで、船を安定させるために、横に浮きを張り出した、南太平洋独特のカヌーである。
[アウトリガーカヌー]
ポリネシアに伝わるこのアウトリガーカヌーには、古くからのしきたりがある。
最も重要なのは、カヌーは家族の一員として扱う事。
神官の祈りによって魂が吹き込まれたカヌーは、人間と同じ。
海に出る前には、必ず手入れをする。
海から帰ってきた時も、必ずきれいにする。
家族同様、大切に扱わなければならない。
また、陸に上がっている時は、カヌーの上に座ってはならない。
特に、やってはいけないのが、カヌーの上を飛び越す事。
ハワイでは、カヌーの上を飛び越すと、寿命が縮まると言われている。
ワイキキのビーチによくアウトリガーカヌーが置かれているが、カヌーの上に座ったり、間違っても飛び越してはいけない。
【画像出典】