またも昔話になってしまうが、企業内起業に
ついて知人の銀行マンから話を聞いたことが
ある。
もう30数年前のことになる。
それは、その企業の人が社内で事務用品の企
業向け配送の業務を始めたというものだった。
いまの「アスクル」につながる(あるいは、
そのものだったかもしれない)仕事だった。
その起業のきっかけは、社内で事務用品の使
用頻度が高く、当時は即刻対応できるメーカ
ーや問屋が存在していない、という単純なも
のだったような気がする。
多分、その起業を思いついた人は多くのニー
ズが期待できるのに、的確に対応できるもの
が存在しないことを見抜いたのであろう。
また、事務用品のような小さくて個単価の高
いものの配送コストは極めて低いことに着目
したであろうし、その在庫管理や配送のシス
テム化がもたらす即時性や利便性にも着目し
ていたに違いない。
そして、何よりも日本の中に(あるいは世界
的に)近代的なオフィスで事務が行われる可
能性が高いことと将来の莫大なマーケットサ
イズを読み切っていたのであろう。
そして、銀行という場での資金調達の容易さ
には、とっくに気づいていた筈だ。
こうした、事例は相当にあったに違いない。