キャリア・アンカー 4、5 その2 | キャリア・カウンセラー札幌のブログ

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キャリア・カウンセラー札幌の活動内容やキャリア・カウンセラーとしての雑感を記載しています。

キャリア・アンカーの8つのタイプ別のエピソ

ードの一例。

 

専門能力・職人 テクニカル/ファンクショナル

・コンピタンスの例 

 

その人はある中堅の食品会社の40代後半の研

究所の所長だった人。ある時、企業業績が振る

わなくなったのでリストラ対象になった彼を担

当することになった。

 

彼は某有名大学の修士課程を卒業しすぐに食品

会社に入社し学校時代の栄養学の知識を活かし

研究職として勤務し順調に昇進し4,5年前か

らは研究所長として5,6人の研究所員を管理

してきた。

 

早期退職優遇制度に応募して退職し直後から支

援することになった。

 

退職後の希望は年齢のハンデをよく理解されて

いて、そう高いものではなかった。ただ自分の

専門知識を活かせる研究職や商品開発を希望し

ていた。

そして、管理職指向はあまり強くなかった。

 

自主的にある職業紹介サイトに登録するなど積

極性のある活動的な人で、どちらかといえば地

場での就職よりは全国区の就職先を望んでいた。

 

ある時、そのサイトからこんな求人情報がきた。

衣料小売りのチェーンの求人で新規事業の商品

開発担当の求人であった。

希望の年収よりは少し少なかったが、事業拡大

の折には昇給も約束できるとのことで数回面接

し見事、内定した。

 

ここまでの話であればキャリア・アンカーの専

門コンピタンスの実現例でよかったのだが。

 

ところが入社して数ケ月で退職したとの連絡が

突然入った。

 

聞くと、入社時の約束だった開発の仕事よりは

新規事業立ち上げに仕事の比重があり、事業展

開のための商品仕入れ先との交渉やチェーン内

の販売実験店舗との交渉など、まるで営業のよ

うな仕事で自分には荷が重いと感じやめてしま

った、とのことだった。

 

その後、元来、生真面目で積極的な人だったた

め、退職のショックからもすぐに立ち直り就職

活動を継続した。

 

転居し東京での就活となり担当を離れたが、2

月後くらいにうれしい報告の電話を受けた。

 

頻繁に情報入手を行い、その中にある有名店の

商品開発、管理の仕事を見つけて、すぐに応募

したとのこと。数回の面接の後、またも見事に

合格。

 

僕も知っている有名店の料理は食べたことはな

かったが類似の店には足を運んだことがあり、

今度は仕事も経験が活かせそうな内容だったの

で大いに祝福したことを今でも思い出す。

 

まさにキャリア・アンカーのテクニカル/ファン

クショナル・コンピタンスの例であり、専門が

この人のアンカーであることを証明する事例だ

ったと今でも感じている。