前回の007の新作は、23作目にして50周年記念
の作品であり、ストーリーにもその年数にふさわしい
“重み”が込められていたように思います。
私のような年代にとっては共感せずとも、十分に同感
できる場面、セリフが至るところに出て参りました。
007がある任務でアクシデントから命に関わる負傷
をしてしまい、再起できるかどうか危ぶまれていたと
ころ、第一線に戻るための“復帰テスト”を受ける場
面があります。
しかしながら、年齢からも基礎体力が明らかに衰えて
いて、このことはジェームス・ボンド自身も自覚して
いました。まさに“ミドルエイジ・クライシス”です。
身体能力の基礎測定では息切れがし、拳銃による的打
ちは外してしまう、そして、テスト結果は不合格。
しかし、女性上司の“M”は、その不合格通知書を見
ながら、ジェームス・ボンドには「ギリギリ、合格よ
・・・」と告げます。
なぜか?・・・、私にはこの場面が、第一線を知りつ
くしている上司の判断だったように思いました。つま
り、現場を知らない上司、あるいは年齢の若い上司で
あれば、当然のことながら「不合格」と告げていたよ
うに感じました。
そして“ミドルエイジ・クライシス”を脱却したボン
ドは見事に復活を遂げるのです。