前回、
韓国ドラマの原題が不思議なセンスの邦題に変更され、脱帽、脱力すると書きました。
この件に関しメッセージをいただいたので、追加版を勝手に始めます。
ただし、内容の性質上、文章が多くなりそうです。
前回記載分を含め、
原題 ⇒ 邦題の順、例えば…
今回のタイトルの元ネタ、
「お父さんが変」( 2017 KBS2 )
⇒ 「適齢期惑々ロマンス-お父さんが変 !? 」
「適齢期惑々」という文字を選択するセンスに、もう脱帽。
長女ピョン・ヘヨン(イ・ユリ)が食事を終えて出てくる「〇亀製麺 ソウル新村店」。
1.故事成語なので配慮しました系
「家和萬事成(かふぁまんさそん)」( 2016 MBC )
家庭円満なら万事が上手く行くの意
⇒ 「ハッピー・レストラン」
仁川中華街の「燕京大飯店」が、ドラマの舞台「家和萬事成」。
「名不虚伝(みょんぶるほじょん)」( 2017 tvN )
名は故無く伝わらない、名に相応しいの意
⇒ 「医心伝心」
ヒロイン、チェ・ヨンギョン医師(キム・アジュン)が乗る「日産・アルティマ ( NISSAN Altima )」。
「十匙一飯(しぷしいるばん)」( 2020 MBC )
十匙を合わせ一椀にする、助け合いの意
⇒ 「ミリオネア邸宅殺人事件」
まあ確かに密室殺人事件が起きますが、主眼は力を合わせた真相究明。
2.ラブとか恋を付けました系
「スパイ・ミョンウォル」( 2011 KBS2 )
⇒ 「ラブ・ミッション」
「ヒップホップ先生」( 2017 JTBC )
⇒ 「キンコンカンコン 恋の始まり」
「20世紀少年少女」( 2017 MBC )
⇒ 「2度目のファースト・ラブ」
このドラマを以前取り上げました。
このあたりになると、もう何も言えません。
「学校 2017 」( 2017 KBS2 )
⇒ 「恋するレモネード」
登場人物たちが乗り回す「ホンダ ( HONDA ) CBR125R 」。
KBS2 の学園ドラマ「学校」シリーズは、若手俳優の登龍門といわれています。
「学校」( 1999 )
チェ・ガンヒ、チャン・ヒョク、ペ・ドゥナ、ヤン・ドングンなど
「学校 2」( 1999-2000 )
イ・ドンウク、イ・ヨウォン、キム・レウォン、ハ・ジウォンなど
「学校 3」( 2000-01 )
イ・イネ、チャン・グンソク(弟役)、チョ・インソンなど
「学校 4」( 2001-02 )
イ・ユリ、イム・スジョン、コン・ユなど
2010 年代シリーズからは邦題変更の常連
「学校 2013 」( 2012-13 )
⇒ 「ゆれながら咲く花」
イ・ジョンソク、キム・ウビン、シン・ヘソン、パク・セヨンなど
「 Who Are You 学校 2015 」( 2015 )
⇒ 「恋するジェネレーション」
イ・チョヒ、キム・ソヒョン、ナム・ジュヒョク、ユク・ソンジェなど
上記「学校 2017 」( 2017 )
⇒ 「恋するレモネード」
キム・ジョンヒョン、キム・セジョン、チャン・ドンユン、パク・セワンなど
更に「学校 2021 」( 2021 )が 11 月放送開始予定。
キム・ヨハン( X1 / WEi )、キム・ヨンデ、チョ・イヒョンなどが出演
3.何でそうなるの系
「ただ見守っていて」( 2009 KBS2 )
⇒ 「アクシデントカップル」
主人公ク・ドンベク(ファン・ジョンミン)が勤務する、明洞の「ソウル中央郵便局」。
「お父様、私がお世話します」( 2016-17 MBC )
⇒ 「江南ロマン・ストリート」
「大君-愛を描く」( 2018 TV Chosun )
⇒ 「不滅の恋人」
「手をつないで沈む夕陽を眺めよう」( 2018 MBC )
⇒ 「私の愛、あなたの秘密」
登場人物たちが乗る、「フォード( FORD )」の上級ブランド「リンカーン( LINCOLN )」。
(画像は別ドラマ「ロボットじゃない」 [ 2017-18 MBC ] )
映画「釜山行き」( 2016 )
⇒ 「新感染 ファイナル・エクスプレス」
まあ、舞台は確かに疾走する KTX (韓国高速鉄道)でしたが…
挙げ出すと、実はいくらでも出てきます。
邦題+原題サブタイトルのパターンを、割と見かけます。
ただ、サブタイトルが省略されてしまうと、完全に意味不明。
「子どもが5人」( 2016 KBS2 )
⇒ 「ドキドキ再婚ロマンス-子どもが5人」
主人公の義妹チャン・ジンジュ(イム・スヒャン)の愛車、「ボルボ ( VOLVO ) V40 」。
「ビューティー・インサイド」( 2018 JTBC )
⇒ 「僕が見つけたシンデレラ-Beauty Inside 」
ドラマ内「ティーロード航空」の広告モデルを務める、ヒロインのハン・セゲ(ソ・ヒョンジン)。
ティーウェイ航空の全面協賛。
このドラマは同名映画「ビューティー・インサイド」( 2015 )が原作ですが、映画版の「目覚めると容貌が変わる 123 人一役」と設定が異なります。
また、他人の顔や表情を見分けるのが困難な、「相貌失認」の登場人物を追加。
この頃、「相貌失認」を題材とするドラマが、複数製作されました。
「リッチマン」( 2018 Dramax )
「初対面だけど愛してます」( 2019 SBS )
など。
更に「魔性の喜び」( 2018 Dramax )
⇒ 「恋の記憶は24時間-マソンの喜び」
という類似作もありました。
このドラマは、映画版「ビューティー・インサイド」の「目覚めると容貌が変わる」設定を、「目覚めると記憶がリセット」に変更。
この時期、韓国ドラマあるある「記憶喪失」のバリエーション作が多く、ちょっと混乱します。
原題の「魔性の喜び(まそん うぃ きっぷむ)」は、主人公の名前「マソンとキップム」を掛けています。
似たセンスの変わった原題に、
「訓男正音」( 2018 SBS )
⇒ 「恋のトリセツ-フンナムとジョンウムの恋愛日記」
「訓男正音(ふんなむじょんうむ)」も、主人公の名前「フンナムとジョンウム」。
「訓民正音(ふんみんじょんうむ)」-世宗が 15 世紀に制定した原型ハングルのもじり。
世宗大王といえば 10,000 ウォン札の顔。
邦題+原題サブタイトル形式が、ちょっとした混乱を呼ぶ事もあります。
「応答せよ 1988 」( 2015-16 tvN )
⇒ 「恋のスケッチ-応答せよ 1988 」
このドラマはシリーズ作で、
「応答せよ 1997 」( 2012 tvN )
「応答せよ 1994 」( 2013 tvN )と続き、
3 作目が「応答せよ 1988 」。
ところが本作のみ「恋のスケッチ」という邦題が付き、検索から外れる困りもの。
また、「応答せよ 1997 」で知名度を上げたのが、ユン・ユンジェ役を演じたソ・イングク。
ソ・イングク出演作に、どうした訳か脱力系邦題が多い印象です。
「(ドラ)息子ども」( 2012-13 MBC )
⇒ 「マイ・ラブリー・ブラザース」
映画「 No Breathing (ノー・ブレーシング)」( 2013 )
⇒ 「君に泳げ!」
「高校処世王」( 2014 tvN )
⇒「ナイショの恋していいですか !? 」
「38サきどうたい」( 2016 OCN )
⇒ 「元カレは天才詐欺師-38師機動隊」
原題は「詐欺(さき)」と「機動隊(きどんで)」を掛けた造語。
「38機動隊」は特別徴税チームの呼称(日本のいわゆる「マルサ」)。
はてさて、ずらずら脱力系タイトルを上げつらってきましたが、超弩級。
「覆面検事」( 2015 KBS2 )
⇒ 「恋はドロップキック!-覆面検事」
法の網の目をかい潜る、本当に悪い奴らを成敗するための苦肉の策ですが…
「国民の皆さん!」( 2019 KBS2 )
⇒ 「ダーリンは危機一髪!」
国会議員が唱える空疎なお題目、「国民の皆さん!」への強烈な皮肉なのに…
この 2 本は共に、あり得ない設定コメディーですが、私利私欲で平然とルールを無視する権力層に対し、「はぐれ者」が組織内からの変革を要求するという風刺的側面を持っています。
その象徴の「覆面」だったり、「国民の皆さん」なのですが…
このリスト、いくらでも続けられますが、今回はまあこの辺で。
いずれにせよ、短文で意図を伝えるのは難しいものだと、改めて感じてしまうのでした。