薬局 | 切った爪が部屋のどこかに飛んでって、後日それを足の裏で踏んだ時のアノ心境

切った爪が部屋のどこかに飛んでって、後日それを足の裏で踏んだ時のアノ心境

むか〜しむかし、あるところに、おじいさんと、おばあさんと、桃太郎がいました。おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に、桃太郎は鬼が島へ鬼退治に行きました。

手を口にあて、歯ブラシコーナーを凝視している訳です。

親知らずの奥まで磨ける小さい歯ブラシがいいのか。
歯ぐきをマッサージするような大きい歯ブラシがいいのか。
アンパンマンはあるけど、やはりバイキンマンの歯ブラシはないのか。

次に考えるべき問題は、硬さ。

『やわらかめ』
『ふつう』
『かため』
普通に『ふつう』を選択。

最後に『ふつう』が並んでいるラックの奥から好きな色を取り出して、任務完了。

厳選した1本を手に取ってレジへ向かうと、バイトの店員さんが色とりどりのペンでイラストを描いていました。上手なうえに、かなり手際が良い。

この人…もしや…

と思った僕は勇気をふりしぼり、

『サボってるんですか?』と尋ねると、
『ポップです』と即答されました。

そりゃそうだよな、と思いつつ会計を済ませて店を出た後、しみじみする訳です。薬局でイラストつきのポップってあまり見ないけど、なんかいいなあ、と。

僕は想像します。
バイトさんの特技を活かそうとする店。
店に自分が描いたイラストが飾られて、ちょっとやる気が増すバイトさん。
いいなあ、と。

そして夜。
僕は買ってきた歯ブラシをバッグから出しました。
すると、

それは『ふつう』じゃなく『かため』。

正しくラックに並べとけ! このクソ薬局!