高校二年生の夏休みとは。

大学受験を目指す者としてはオープンキャンパス参加があるが、そもそも進学など考えていない烈貴は無縁と考えていた。

因みに彼のトータルな学業成績は、その時点では所謂"中の上”といったところだった。


烈貴の◯✕高校ではオープンキャンパス参加の強制は無いが、やはりクラスでは夏休み前に

「何処行こうかな?」

といった話題で盛り上がる。


烈貴はクラスで既に"リア”として、非リア級友達から半ば爪弾き扱いされていたのもあり。

そうした話題からすらも縁遠かったが、当の烈貴には取るに足らないものであった。


(フン、メガネザルどもめ。

今に後悔するのは、そっちだ。

青春の1ページをドブに捨てた………ってな)


ふと、考え方が父・正和に激似して来ていると自身で気付き。

慌てるシーンの増えた烈貴であった。


………山積みで用意された学校からの課題もそこそこに、烈貴は。

夏休みを謳歌しようと考えていた。


部活のコンクールでは県で金賞!

カノジョの美葉との関係も上々!!


「この夏は、出来過ぎだッ!」


RG50Eのスロットルも全開に、真夏の炎天下を駆け抜ける烈貴は。

まさに青春真っ盛りだった!!


部活も"夏休み”=自主練に入っている中。

烈貴は兼ねてから考えていた、普通自動二輪免許取得の為の教習所通いをいつにするか?思案に暮れていた。


取得資金は父・正和が手放しで援助を申し出ている。

烈貴が、この普通自動二輪免許取得の話を出した時。

いよいよ息子がステップアップを考え出したことに対し、正和は嬉しがるどころか

"自分の息子なら当然!当たり前!!”

といった風情で腕組みをし、大きく頷くだけであった。


問題は………学校の校則と。

母・明美だった。


校則では原則、原付免許以外の運転取得を禁止しているが、三年生時で就職の決まった生徒に限り普通四輪自動車免許その他の取得を許可している。

なので、あくまで校則に沿った場合、烈貴が三年生に上がるまでは"お預け”となる。


(何とか、チョロまかしたい!)


三年生まで、あと半年。

早く、あの美葉のボリューム溢れる感触を背中に感じながら、風を切りたい!!

そんな"純粋な願望”に身を焦がす一方。


「どうせ"女遊び”に使うだけでしょ!?

やめなさい!」


確かに部分的?には正解と言いたいが。

この、自分を全く理解しようとしない………いや。

十二分に理解………というよりは"見切っている”手強い母の呪縛も壁となり立ちはだかっている。


もはや、頼りになるのは。

普段 "昭和の化石” "`80年代文化の伝承者”と烈貴の蔑む父・正和の他に居ない………




そんな烈貴だが。

ふと、いつもの展望台まで流しに行くと久しぶりに莉奈と会った。


「よォ」


例の黄色いトライ50の横にしゃがみ込んで、莉奈は片手を振る。

さすがに真夏に赤ジャージ上下は暑いからか、派手なアルファベットのプリントのしてある白Tシャツと、カーキ色の短パンにスポーツ・サンダル姿だった。

髪の長さはH・M・S初ライブ時より少しだけ伸び、襟足が少しだけカールしていて、それが色っぽさに貢献している。


近くにRG50Eを停め、ヘルメットを脱ぎ挨拶する烈貴。


「久しぶりですね。

先輩」


「うん。

………………あの子と、ヤッたか?」


ニヤつく莉奈。

突然の直球に慌て気味の烈貴。


「………へ?

いやぁ~、あ、まだですが………」


「まだだぁ?

夏休み、もうすぐ終わるぞ」


4年振りに雄馬との蜜月の日々を取り戻した莉奈は、余裕があった。

今現在は県内での"プチ遠恋”中だが。


「そうそう、悪りィな烈貴、お前招待するって言ってた初ライブなんだが。

偶然にも県大会の日とダブったみたいだったんで。

敢えて呼ばなかった、スマン、また次回にってことで」


「そうだったんですか!

とうとうデビュー果たしたんですね。

おめでとうございます!!」


「いやいや」


照れ臭そうに笑ってみせる莉奈を、烈貴は頼もしく見えた。 


いろいろあったが、烈貴の青春の1ページで莉奈は全てを受け入れてくれた、確かに"先輩”だった。


莉奈のTシャツの、胸の盛り上がりに目を奪われる。

烈貴の頭の中で自動的=無意識とも言う=に美葉と比較してしまう。

大きさでは双方とも甲乙付け難いが、頂上までの高さ………という比較では莉奈の方が上のように一見、判断も出来た。


そもそも烈貴は女子に対して、そのような評価で見る男子では無かったのであるが。

全ては烈貴自身の体験そのものが、そのように"成長”させていた。

まさに………それはバーチャルや二次元では決して得られることの無いものである。


烈貴の、食い入るような視線を胸に感じた莉奈が妖しい笑みを見せる。


「………ここは暑い。

久々にモーテル行くか?

涼しいとこ行こ、涼しいとこ」


「!!」


莉奈は既に準備OK!と言わんばかりに、ヘルメットを被りトライ50に跨る。

またまた慌てる烈貴。


「ち、ちょっと待って………」


「いいじゃん、ガチで涼みに行くだけだよ?」


「…………」


涼みに行くだけだったら、喫茶店あたりでも良いはずだが。

それだと誰かに遭遇したり、目撃される確率も高い。

そして……それが"誤解”にもつながるだろう!!


となると………やはり、密室!?


「大丈夫だって!

あたしも元カレとヨリ戻したし。

手なんか出さねェって!!

どうせ家居たって、つまんねェだろ?」


振り返る莉奈の笑みが、どうしても卑猥に見える烈貴だったが…………

とりあえず?

付いて行くことにした。


続く


🎁GEKKO様贈呈

"リア”復帰後の莉奈


〈頼もしい?先輩・完〉


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