昼過ぎに、ようやくホテルをチェックアウトした莉奈と雄馬は。
ホテル地下駐車場に停めておいた、雄馬の車で街へ出た。
「もう、お昼だし。
お腹空かない?」
「久々に、ラーメン食べようか」
その日は日曜であり、雄馬も時間に余裕が有った。
二人は馴染みのラーメン屋へ向かった。
真夏も意に介さず、無性に食べたくなる熱い一品がそこに有った。
そこは雄馬が中学時代から行き付けの店で、市内ではほぼ、そこしか行かない。
カウンター席へ着こうとすると、店の女将さんが座敷席も空いてると勧めて来た。
時間はもう、午後一時半になろうとしている。
二人は靴を脱ぎ畳に上がり、チャーシュー麺中盛を二つ頼んだ。
ここは中盛まで並盛と同じ値段となっていた。
莉奈は、出されたコップの冷水を一口飲んで、店の窓の外を眺めながら言う。
「………ビックリしてたでしょ。
あたし、髪切ったから」
それに笑って答える雄馬。
「ああ。
最初、誰?って思ったよ。
………直ぐ分かったけどね」
雄馬もコップの水に口を付けてから、続ける。
「似合ってるよ。
………綺麗だ」
窓の外へ顔を向けたままの莉奈の口元が、少しだけ笑った。
4年振りに再会を果たした二人は。
昨夜から今朝にかけて、まさに貪るように互いを求め合っていた。
さしずめ、砂漠でようやくオアシスを見つけた遭難者が我を忘れて水源にかぶりつくかのように…………
その為、互いの近況報告を話すことなど頭にも無いくらいであったのだ。
程なくしてチャーシュー麺中盛が二つ、運ばれて来る。
その、ハードなスポーツか?のような逢瀬に一晩身を投じていた若い二人が、早朝4時のサンドイッチくらいで腹を満たせたはずも無かった。
今度もまた、オアシスで食料を見つけたかのような勢いでチャーシュー麺に食らいつき。
舌鼓を打つ。
「………ん……美味い!!」
「……マジ美味!!」
夜更かしは別として。
この二人は極めて健康な状態とも言えた。
その後、90km離れた街にある雄馬のアパートへ付いて行くことになった莉奈。
恐らく二晩以上連続の外泊となり、両親から大目玉を食らうのは必至だったが、そんなのは知ったことか。
そんなことより夏休み中であることを、心底感謝した莉奈であった。
高速道路に入り、クーラーの効いた車内でジャーニーの曲の流れる中。
莉奈は心身共に爽快感と解放感に浸る。
「あ〜!
お腹いっぱい!!
セックスの後って何でか?
無性にお腹空くんだよね」
ハンドルを握りながら笑う雄馬。
「だよね、いつも、なんか食べてるよな」
「だよね!
雄馬の特大フランクフルト、何度も食べてるのにね!!」
爆笑する雄馬。
「えのき茸の時だって、あるじゃん?」
今度は莉奈が爆笑する。
「それって、いわゆる疲れ過ぎっ!」
助手席で、パンパン!と手を叩きながら大ウケする莉奈。
こうした、お下品?なお笑いが…………
4年も空いていた二人の月日を、埋めていっていた。
美葉は、悩んでいた。
「………どしよっかな?
やっぱ、水着、買いに行こかな?」
自宅バスルームの脱衣所の、全身鏡の前で。
一糸まとわぬ姿で自身を食い入るように見つめる美葉。
「もしかしたら来年の今ごろ。
これより、もっと太ってる可能性だってあるし?」
烈貴には、常に一番綺麗な自分を観てもらいたい………
そうした女ゴコロも有ってのことである。
「けど。
海でクラゲに刺されるのも、ヤだしなぁ」
いろんなポーズで、いろんな角度から、自らの身体にチェックを入れていく。
ふと、烈貴の困った表情が浮かぶ。
(ダメだよ〜!
ダイエットなんかしちゃ〜!!)
(このままがイイ、このままが好き!!)
コンクールが終わって直ぐに部活も休みとなったが、お盆を迎える為。
"約束のデート”も8月後半になりそうだった。
もう、何日も逢ってない。
「…………先輩!」
早く、いっぱい、可愛がって貰いたい!
夏休みが終わるまでに………
バスタオルを纏うのも忘れ、瞳を閉じる美葉。
「フ…………フェックション!!」
湯冷めしそうな、美葉でもあった。
続く
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水着の美葉
