めでたく成功した、初ライブ終了後。

復活した HEART MEDICINE ………H・M・Sの面々は、軽く打ち上げを行った。


「………ったく、急に居なくなりやがって。

自◯したかと思って警察に捜索願い出すって話までいったんだぜ」


洋風居酒屋の予約席のテーブルで、アイン、ミタと共にビール生ジョッキを片手にマッキーが笑っている。


そして……高校生の莉奈はジンジャーエールのグラスを前にして、ウィスキーグラスを持つ雄馬の隣りに座る。


雄馬は、ビールが苦手だ。

どうも身体が受け付けず、すぐ吐いてしまう。

反面、ウィスキーだと水割りではなくストレートかロックで最初からイケる。

中でもヘネシーウィスキーのジャックダニエルがお気に入りだ。

幸いに、この洋風居酒屋にもジャックダニエルは取り揃えてあった。


「いや、本当に申し訳無かった」


ただただ頭を下げる雄馬。

アインが、早くも酔いの回った顔で言う。


「俺達なんて、どうでもいい!

リーちゃんに謝れ!

リーちゃんに。

この4年間、彼女が、どんな気持ちでいたと思ってんだ!?」


雄馬は、莉奈に向き直る。


「………莉奈。

ごめんね。

俺は、もっと君に寄り添うべきだった」


雄馬を見つめる莉奈が、顔を横に振る。


「ううん!

いいの、こうして雄馬が戻って来てくれたから」


メンバー達の手前、照れ臭そうにはにかむ莉奈が。

雄馬には愛おしく見えた。


ミタが口を挟む。


「まあ………雄馬が戻って来たのは良かったとして、今後はどうする?

お前、今、家遠いだろ?

通えるか?」


雄馬のアパートは、そこから90km離れた県庁所在地にある。


「………俺、今すぐにはまだ復帰は難しいかな。

仕事先が向こうだし」


「こっちに"ベッソー”でも作れば?」


マッキーが冗談半分に言いながら笑う。



皆の会話を聞きながら、莉奈は思った。


(あたしが家を出て、アパートに住めたら………)


そこが雄馬の活動拠点にもなれる………そう考えたのだった。


だが………未だ高校生の莉奈には、少なくとも今は現実的に厳しかった。

あと数ヶ月待てば、莉奈も卒業し。

職を持ち一人暮らしも不可能では無いのだが。


その晩は結局、雄馬の具体的な復帰プランも未定のまま御開きとなった。

しかし、ようやくメンバーが出揃い、本格的再始動に向けて前を見ることが出来ている。

最悪、当面は他メンバーが雄馬を泊めたりしながら活動拠点でのセッションも可能にして行こう………そうした話になった。



皆と解散した後、莉奈は雄馬の泊まるホテルへと付いて行った。

予め、ツインの部屋にしてあった。

普段から莉奈の外泊に関して口うるさくはない両親に、そのことを告げることは無かった。

部屋に入ると直ぐ、二人は抱き締め合った。

雄馬は莉奈の耳元で囁く。


「莉奈………音楽、やめないでいてくれたんだね。

嬉しかったよ」


雄馬の吐息を感じ、早くもウットリする莉奈。


「………いろいろあって、一度、やめちゃったけど。

やっぱり、忘れられなかった………

音楽も………………あなたも!」


このやりとりを合図に、二人は激しく唇を重ね始める。

そのまま一つになり、ベッドへ倒れこむ。


懐かしい匂いがした。

莉奈も、雄馬も、互いが恋がれていた匂いだ。


「莉奈ァ!」


雄馬は唇から莉奈の首筋、胸元まで唇を這わせながら、服を脱がせていく。

莉奈自身も期待していた行為に、思わず笑みが溢れる。


「待って。

シャワー浴びないと」


「構うもんか!」


自身も服を脱ぎ捨てた雄馬の汗と酒の匂いが、莉奈には狂おしい程に嬉しく感じた。

夢ではなく、本当に帰って来た雄馬の証しだからだ。


あっという間に互いに生まれたままの姿となり、再び貪るように口づけを交わしながら両手で愛撫し合う。


雄馬の唇が離れ、豊かな膨らみの頂点へと辿り着くと。

莉奈は断末魔に近い声で鳴く。


「あああッ!!」


4年の月日は、心身ともに莉奈を変えた………いや。

成長させていた。

その夜の莉奈は、いつになく敏感になれた。


雄馬の頭が、莉奈の左右の膨らみの間を満遍なく、規則正しいとも言える往復を続ける。

吸引する音と同時に、喘ぎ声が響き渡る。


「………莉奈!

………莉奈!

イイ女になった!!」


濃厚な愛撫の合間に、雄馬が何度も繰り返し讃える。

息切れを伴いながらも、莉奈は切なそうに眉を寄せた笑みを見せながら瞼を閉じ。

豊潤な歓びに身を任せた。


雄馬は莉奈の全身を漏れなく丁寧に可愛がった後、繋がって行った。

莉奈の声はエンドレス・テープに録音された台詞のように、リズミカルに響き渡っていた………………


1ラウンド終了後、仰向けに寝そべる雄馬の胸板に顔を乗せ。

虚ろな瞳のまま、莉奈は呟く。


「………………雄馬、あたしね。

浮気しちゃってた。

一度だけ」


そう告げられても、雄馬は表情も変えずに天井を見上げている。


「………ごめんね。

あたし………どうかしてたんだわ」


莉奈の瞳から、涙の粒が一つ流れて雄馬の胸を濡らした。


雄馬は、そんな莉奈の髪を優しく撫でながら囁く。


「…………浮気も何も。

サヨナラ言ったのは、俺じゃないか」


莉奈を抱き寄せる雄馬。


「………莉奈のような、イイ女を。

男達が放っとくわけないだろォ?」


そう言って雄馬は笑った。

全く気にしていない。


莉奈は、涙に濡れた頬のままで雄馬の顔を見上げた。


雄馬は莉奈に柔らかい眼差しを向けながら続けた。


「莉奈…………いろんな経験、したんだね。

そのカレにも感謝しなきゃ。

莉奈を、こんなイイ女に育ててくれたんだからね!」


「………………雄馬!」


莉奈は、初めて救われた思いだった。

そして……

雄馬の持つ、大人の男の包容力に身も心も溶けそうになった!


「雄馬!

雄馬ァァァ!!

もう………もう二度と、あたしを離さないでェ!!」


「………離さないよ、莉奈を」


号泣する裸の莉奈を、更に強く抱き締め。

雄馬は誓ってみせた。


「………ずっと!!」


それから二人は。

途中、シャワー休憩と。

コンビニで買っておいたサンドイッチとドリンクで、裸のまま早めの朝食を入れながら。

陽が昇るまで交わり続けた後、互いに泥のように眠り続け………

目覚めたのは正午近くであった。


続く


〈四年振りの逢瀬・完〉


※文中の団体・組織名及び人名は実在するものと一切関わりありません

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Gemini

Special Thanks;GEKKO様