オペレーター兵の操作するPC(パソコン)画面がスクロールされ

「active mode: select attack target/」

という項目へ辿り着いた。

そこが、攻撃コマンドの選択項目だ。


麻衣の見守る中、オペレーター兵は息を飲み。

震える指で"commander”(隊長)と入力し、引き続き

「act/inactivate」

の項目から"Act”(稼働)を選択し入力した。


オペレーター兵の身体はガクガク震え、額から脂汗が滴り落ちる。

仮にも自分の部隊長を攻撃目標とする等、裏切り以外の何物でも無く。

明らかな造反だ。

幾ら敵に脅されての行為だとしても、許されることではない………

思わず、その場から逃げ出したくなっていた。

しかし結果が出るまでは麻衣が許しそうになかった為、その場に留まる以外に無かったのだった。


入力を実行して、暫くが経った。


ところが、戦場型戦闘ヒューマノイド達の稼働開始した気配が全く無い。

うまくいった場合、PCの画面に出現するはずの"Completed”というワーズも出て来ない。


「Is the command incorrect after all?」

(やはり、コマンドが合ってないのか?)


兵士は一旦はホッとした。

コマンドが合わなければ仕方無く、麻衣にも言い訳出来る。

しかし………様子を見ていた麻衣の形相は、それさえ許さぬ構えだった。


「Try changing the words to something different!

Maybe it will work then」

(ワーズを違うのに変えて見なさいよ!

そうすれば動くかも)


オペレーター兵は

"まだやるのかよ!?”

といった顔で再びPCに向かう。

………他にも"captain” "unit leader” "representative” 等。

該当しそうなワーズをコマンド入力してみたが、いずれも変化は見られなかった。


「Isn't it time to just give up already?」

(もう、いい加減、諦めないか?)

精神的にも限界なオペレーター兵が、麻衣に懇願した時。

麻衣は叫んだ!

「名前………!!

What's the commander's name!? 

Try entering it!!!!!」

(隊長の名前は!?

それを入力してみて!!!)


オペレーター兵は。

これでダメなら麻衣も諦めるだろうと渋々"セルピエンテ”と入力する。


「active mode: select attack target/

serpiente/

act/inactivate」


そして……最後に"act”を選択した。


すると!


突然、画面の真ん中に真っ赤な横長方形の枠が現れ。

中に

「WARNING: Unexecutable instruction」

(警告:実行不能指示)

と大きく記されたメッセージ!


同時にPCから、大きな警告音が発せられ始めた!!

ビーッ

ビーッ

ビーッ

ビーッ

パニックに陥り、頭を抱えるオペレーター兵。

「It's tough!! 

That's why I said it!!!」

(大変だぁ!!

だから言わんこっちゃない!!!)


さすがに、この警告音は外へも響き渡り。

当然ながらセルピエンテにも感付かれることとなった。


「………!?」


セルピエンテは念の為、予備の機関銃を手に取り、オペレーター兵の居る軍用トラックへと走る!


助手席側のドアノブへ手をやろうとすると………


バーン!!


急な開き方をしたドアが、セルピエンテを弾き飛ばす。


「グァッ!」


セルピエンテは機関銃を持ったまま、後ろへと倒れこむ。

軍用トラックの室内から顔を出したのは………

自軍のオペレーター兵ではなく、ゲリラ式戦闘ヒューマノイドの麻衣だった。

麻衣は、横たわるセルピエンテを睨みつける。


一瞬目を丸くしたセルピエンテも、直ぐに状況を理解した。


「フフ………そういうことだったか」


地面に横たわったまま顔を上げ、麻衣へ向け機関銃を掃射する!

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!

再び軍用トラックのドアを閉め、銃弾をかわす麻衣。

中ではオペレーター兵が震え上がっている。


軍用トラックの外でセルピエンテが吠える。


「出て来い!

ゲリラ式戦闘ヒューマノイド!!」


麻衣はドアの窓から顔を出し、セルピエンテを見下ろしながら笑って言う。

「アンタは日本語が通じるようね………

こっちには"人質”が居るの、忘れないでよね。

アンタのやり方とおんなじだよ。

オペレーターの兵士と………大事な大事なPCがね!」


うっ!

とセルピエンテは言葉に詰まる。

彼にはオペレーター兵の命以上に戦場型戦闘ヒューマノイドを制御し、尚且つ機密事項の詰まったPCこそが重要だったのだ。


「小娘が!

ナメた真似しやがって!

ハチの巣になりてぇか!?」


怒りに震えるセルピエンテに対し、余裕綽々の麻衣。


「やるならどうぞ♫

一緒に、このPCもハチの巣になるけど?

そしたら、あの戦闘ヒューマノイド達もタダのオモチャだよ。

どうやって持って帰るんかな?笑」

「くっ……!」
苦虫を噛み潰した顔のセルピエンテは、機関銃を構えたまま動けない。

油断していた!

ゲリラ式戦闘ヒューマノイドに与えられていた知能を。


そんなセルピエンテに、麻衣は取り引きを持ちかける。


「じゃ、こうしない?

このPCと、人質にされてる学校のみんなとの交換。

それなら考えたげてもいいんだけど?」


麻衣に主導権を握られている屈辱をこらえながら、セルピエンテは答える。


「…………その取り引きは考えてやろう。

しかしタダで済むと思うな!

小娘!!」


捨て台詞を吐きながらセルピエンテは一旦、引き返して行った。


軍用トラック内で震えていた、オペレーター兵に向き直る麻衣。


「It's okay now! 

Hey, hey, can I get rid of the error message that's appearing now?」

(もう大丈夫だよ!

ねぇねぇ、今出てるエラー・メッセージって解除出来るよね?)


見ると、先程出現していた警告メッセージは既に消えていた。

気が付けば警告音も止んでいる。

一定の時間が経過すると自動的に解除されるものだったらしい。


「良かった!

たまに解除するの面倒くさいメッセージもあるもんね。

授業のPCだって、たまにそうなるもん」


これは独り言なので英訳する必要も無い。


オペレーター兵も、少し安心した様子で麻衣の横顔を見ながら言う。

「You've got more than just a mechanical body.

You've got a really strong will!」

(君って、機械の身体だけじゃなくて。

凄く気が強いんだね!)


一瞬ポカンとした後、照れくさそうに言う麻衣。


「I wonder?

It's true that I've always been told I'm strong-willed, but」

(そっかな〜?

確かに昔から気が強い、とかは言われるけど)


「Even before?」

(昔から?)


不思議そうな顔のオペレーター兵をよそに、麻衣は次の策を考えていた。


「みんなには悪いけど、ちょっとイタズラしちゃうよ♫」


〈取り引き・完〉


※文中の団体・組織名及び人名は

実在するものと一切関わりありません

キャラクターアプリ;Picrew.me ChatGTP

Gemini