稼働を開始した、イスロ戦場型戦闘ヒューマノイド。

その銃口は、生徒・学生達に向けられた!

とても職員達でも庇い切れるものではない。

40丁もの機銃掃射を一度に浴びれば、例え大人数の人質であっても皆、文字通り一溜まりも無いだろう。


とはいえ、セルピエンテの目論見は一貫してゲリラ式戦闘ヒューマノイド全員をおびき寄せることであった。

それが達成されるまで徹底して人質達には死の恐怖を与え、いたぶり続けるつもりだ。

女子生徒達の啜り泣きが聞こえる。


拳を握り締め立ち尽くすエリック=ティーチャーを、セルピエンテは手ぶらのまま薄笑いを浮かべて見下す。

「いいか?

一歩でも動けば、コイツらの首が吹っ飛ぶぞ」


セルピエンテは輪の外に居る、6名のイスロ兵に立ち向かったばかりの栄太と山本君にも命じる。


「そこの、イキだけはいいガキふたり。

お前らも動くな!」


何という卑怯な奴だ!!

戦闘ヒューマノイド形態のエリック=ティーチャーの顔にも怒りが滲み出る!

増して、自身の愛して止まない生徒達を人質になど許せるわけがない!

栄太達も、同じ感情を露わにする。


「汚ねェぞ!!」

親の敵でも見るように、目を吊り上げた栄太が叫ぶ。


人質の中に居る由美香は………

送ったLINEを剣持が既読したかどうか気になっていた。

しかし、それを確かめる為だとしてもスマートフォンを取り出すわけにはいかなかった。

少しでも変な動きをすれば、このテロリストのリーダーは何をするかわからない………

LINEが既読され、こちらへ警察が向かっていることを由美香は願うしか無かった。


セルピエンテは笑いながら伝える。


「一つだけ条件を出そう。

他のゲリラ式戦闘ヒューマノイドどもを全員ここに呼べ。

今すぐにだ!

それなら、可愛いガキどもの命だけは助けてやってもいいだろう」


得意気な顔のセルピエンテが高笑いをした、次の瞬間……………


「オレらなら、とっくに来てるぜ?

ヘビちゃんよぉ」


背中から声がする。

セルピエンテが振り返ると………

軍用トラックの幌の上に、二人の男が座っている。

「あ!
アイツら!?」
栄太と由美香が驚きの声を上げる。

キッド三人衆のマーフィ、そしてカイトだ!

カイトは告げる。


「テメェこそ、蒲焼きになりたくなかったら。

そのデク人形どもを止めな!」


セルピエンテは、右の首筋にヒンヤリとした感触を覚えた。

悪い予感………それは首筋に当たったナイフの刃先だった。

気付かぬ間にキッド三人衆の一人、ケビンがセルピエンテの背後に回り、バタフライ・ナイフを横から首に突き立てている。

セルピエンテは、ゆっくりと両手を上げる。


「フッ……機械仕掛けの分際で、なかなかやるじゃねぇか」


表情は変えぬまま、セルピエンテは背中越しにカイトへ言った。


「戦闘ヒューマノイドを止める儀式は俺にしか出来ねぇ!

一旦、自由にしてくれねぇか?」


カイトは暫く考えてから、ケビンに目で合図を送る。


ケビンがセルピエンテの首からナイフを遠ざけ、一歩後ろへ下がった瞬間。


「撃てェ!!」


素早く前転し、場を逃れながらセルピエンテが命じたと同時に。

人質達の頭上を飛び越え、機関銃の掃射がケビンとカイト達を襲う!

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!

中央広場に悲鳴が上がる!

栄太と山本君の倒した兵士のうち、喉を傷めた者と左腕を傷めた者二人が密かに立ち上がり。

銃を構えていたのだった!


キッド三人衆達は、セルピエンテの策を読んでいたかのように各々身体を回転させ、銃撃から逃れる。


トランシーバーから指示を出すセルピエンテ。

「Commence simultaneous gunfire! 

Target: guerrilla combat humanoid!!」

(一斉銃撃開始!

目標、ゲリラ式戦闘ヒューマノイド!!)



軍用トラックの中では、オペレーター兵に対し麻衣が説得を続けていた。

再び来た、トランシーバーからの指令を聞きながらオペレーター兵は身を固くする。


「Is there really no way to stop the combat humanoids?

(本当に、戦闘ヒューマノイド達を止める手立ては無いの?)


繰り返す麻衣の問いに、オペレーター兵はただただ目を伏せるだけだった。

Once the combat humanoid is operational, it can only continue to receive attack commands... 

Only the commander knows the end command」

(一旦稼働させた戦闘ヒューマノイドは、攻撃コマンドを受け取り続けるしか無い……………

終了コマンドを知るのは隊長だけだ)


麻衣は信じた。

このイスロ戦場型戦闘ヒューマノイドだけは、父の開発ではないことを。

同じ戦闘ヒューマノイドでも、これは命令に従い動くだけの操り人形………しかも殺戮だけが目的の!

かつて、出会ったばかりの華裏那が言っていたように自分の意思を持たず。

"コマンドを忠実に実行するだけ”

のロボット………というより兵器そのものなのだ!


(必ず、弱点は見つかるはず!)

麻衣は希望を捨てない!!


〈攻防戦③・完〉


※文中の団体・組織名及び人名は

実在するものと一切関わりありません

キャラクターアプリ;Picrew.me ChatGTP

Gemini