警視庁の諸原へ、剣持からの電話が来た。
由美香からの"SOS”のLINEを既読した剣持は、すぐさまイスロの奇襲を理解したのだった。
「………イスロは現在、板橋区のD大構内に潜伏中の可能性があります。
至急、対策本部の指示でSATを向かわせて下さい。
自分もこれから向かいます」
諸原は剣持へ、D大代表電話番号へ確認をとったのか?訊いた。
「通じませんでした!」
その剣持の一言で、諸原は取り急ぎ対策本部へ指示することを決定した。
「相手は想定以上の火力を持つ可能性がある。
油断するな!」
「はい!」
電話を切り、直ぐに剣持は警官達を伴いパトカー複数台で出動した。
(間に合ってくれよ!
みんな、無事でいてくれ!!)
サイレンを鳴らしながら、パトカーはD大へと急ぐ!!
麻衣に教室で待つように言われた担任教師とクラスメイト達は。
とりあえず学校の廊下からは銃声が消えたのを安堵していたが、窓から気付かれぬように外の様子を覗いたり、突然得体の知れない姿へと変身した麻衣について話したりしていた。
担任教師は呆然と教壇に座り込むだけであった。
「ねぇ………外、大変なことになってるよ」
「ウチらも見つかったら、どうしよ?」
更に生徒達を驚かせたのは、エリック=ティーチャーまでもが麻衣と同じく変身したという事実だった。
「信じらんな〜い!」
「今まで人間のふりして、紛れ込んでたなんて」
そこへ、AI・ロボティクス工学ヲタクの男子生徒が語る。
「いや、今の時代。
ヒューマノイドが社会に紛れ込んでたとしても、おかしくはないよ。
さすがに真行寺さんは意外だったけど、あの能力は最先端だと思う!
きっとロボティクス分野で活躍する親の影響だ」
最もショックを受けていたのは、栄太だった。
瞬く間に戦闘ヒューマノイドへと変身し、一撃で兵士を倒してしまった麻衣の変貌した姿を思い返す度に、信じられない気持ちとなった。
更に………もう一つの感情も芽生え始めていた。
(………麻衣。
どうして、話してくれなかったんだ?)
最初からロボットだったのか?
最初は人間だったのが、ロボットになったのか?
中学の頃から接してきた栄太にしてみれば、一歩違えば"裏切られた”ような感情さえ生まれかねなかった。
だが、それを栄太は打ち消すように叫んだ。
「違う!
麻衣は、そんな奴じゃない!!」
クラスメイト達は、一斉に栄太へ向き直った。
「………あいつは……麻衣は。
ずっと一人で抱え込んでいたんだ。
人間になりたくても、なれない辛さを」
振り返れば………
ある時期を境にして食事に誘っても、お茶に誘っても、全て断り続けるようになった時の麻衣の、寂しそうな笑顔を栄太は思い出していた。
涙が頬を伝っている。
声が震えていた。
「あいつは……麻衣は、だからこそ、俺達を助けてくれたんだ!!」
朱莉も立ちがる。
「栄太君の言う通りよ!
例え、どんな姿になったとしても、麻衣は私達の友達よ!!」
山本君も立ち上がる。
表情は変わらぬままだ。
クラスメイトの一人が言う。
「けど、あんな怖いテロリスト達に、どうやって立ち向かえと言うの?
真行寺さんが強いロボットだとしても、あまりに多勢に無勢なんじゃない?」
栄太は涙に濡れた頬のままで、キッと向き直る。
「俺達も戦うんだよ!!
今度は俺達が、麻衣を援護するんだ!!」
ええ〜〜〜!?
クラスから声が上がる。
ムリムリ!
無謀過ぎると、小声も聞こえる。
それも当然と言えば当然である。
それでも栄太は叫ぶ。
「じゃあ、ここで死んでもいいのかよ!?
何もせずに、ここで人生終わっていいのか!?
みんなが行かなくても、俺は行く!!」
決意に満ちた顔の栄太が教室を出ようとすると、山本君が駆け寄り。
いつものように"御家人ポーズ”でひざまずく。
「御屋形様!
この磯之進、お供つかまつりまする!!」
それを見て一瞬、朱莉が何か言いたそうな顔をしたが。
直ぐに覚悟を表した表情となる。
それは、まさに戦場へと伴侶を送り出す、戦国時代の奥方の心情そのものであった。
教室を出ると栄太は、廊下に横たわる侵入兵士に躊躇なく近付き。
ヘルメットと機関銃を奪い取った。
血の匂いがする。
以前の栄太なら考えも及ばないシチュエーションではあったが、既に彼は只の高校生では無かった。
(麻衣が変身したのなら、俺も変身してやる!!)
山本君が申し出る。
「御屋形様、暫しお待ちを!」
数分経ち、戻って来た山本君は。
剣道部室から借りた防具で身を固め、手には侵入兵士の機銃掃射で露出したであろう水道管を引き抜いたと見られる長い鉄パイプが握られている!
「いざ、出陣!!」
令和の若武者の、初陣である!
〈出陣・完〉
※文中の団体・組織名及び人名は
実在するものと一切関わりありません
キャラクターアプリ;Picrew.me ChatGTP
Gemini



