勝負の日が来た。


11月16日、広神サーキット・オフロードコース。

まずは…………
私に、この日を迎えさせてくれた全てに感謝したい。

今年、私は本当に命を落とそうとしていた。
再び大地に立つことも。
操縦桿を握ることも。
二度と無いかも知れなかった。
それを覆し生還を果たした。

しかし二本の脚で立てるようになるまで二カ月半、歩けるようになるまでは三カ月以上を要した。
病院を後にするまでは、半年を要した。
心臓の力は60%まで落ちていた。

仕事も失った。

再び「生きよう」と、自分を前に向ける為にどうするべきか?考え続けた。

それは…………”闘う”ことだった。
死神に連れて行かれそうになった、人生の危機。
「人生とは…………闘いだ!」
部屋で朽ち果てていた、一台のラジオコントロールカーが私に教えた。

「もう一度、奴と闘う為に」

それが、私を立ち上がらせる力となった。

妻は反対した。
もう外で遊ぶのは、やめてくれと。
30年近く苦楽を共にして来た模型飛行機も、45年近く勝負に明け暮れたラジオコントロールカーも捨てて。
いつ、どこで何が起こるかわからない身体になってしまった私に、大人しく余生を暮らすように頼まれた。
確かに妻には苦労をかけ続けている。
私が生死の境を彷徨い続けていた一ヵ月間は勿論、無職となった現在も妻を追い詰めていた。
その気持ちを、無下にすること等できるはずも無かった。

しかし……私は悩み抜いた末。
”生き続ける”為に”闘い続ける”ことを選んだ。
冷蔵庫の中の、しなびた菜っ葉のようになり果てて、何が”生きている”と言えようか。

たかがラジコンカーと人は笑うだろう。

だが。

私を救ってくれる、全ての力を得た今。
この闘いの舞台に再び帰ることが出来た!!

迎え撃つ”宿敵”三鷹の新鋭機
「ホーネットEVO」
名前こそ兄弟でも、四輪独立懸架の足回りは脅威だ!
奇しくも新旧ホーネット対決となった。
〈手前からホーネットEVO、ホーネット、JEEP Wrangler〉

三鷹練習走行
…………三鷹自身も。
今年は今回の勝負の日まで一度もサーキットへ向かう日は無かったという。
私との勝負抜きには何も語れないとまで考えていたのだ!!

HARIMA練習走行
一年振りのサーキット走行で、ジャンプでの姿勢が乱れてしまう。
しかし賽は投げられた!
闘うしかないのだ!!

勝負は五分間のコース周回数を競う。
ルールは全く変わらない。
どんな言い訳も通じない真剣勝負の幕は切って落とされた!!

互いに自分とマシン両方のブランク一年という極めてフェアな。
一歩も譲らぬ、抜きつ抜かれつなサイドバイサイドのせめぎ合いが続いた!!
いつもは長く感じていた五分間も。
あっという間に過ぎ去った濃密な時間となり、終了を知らせるタイマーの鳴った時………前を走っていたのは三鷹のホーネットEVOだった。
互いに同一周回数の10周を走り抜いた結果だった。


何と清々しい瞬間を共にしたことだろう!
闘いを終えた爽快感が、私と三鷹を包んでいた。

これからも…………生きる為に!
私は”勝負”を忘れない!!

〈おまけ〉
反骨のトイラジ・オフローダー
CCP・JEEP Wrangler もコースを走った。
JEEP Wrangler はレースカーとは違う為スピードこそ出てはいないが、このような平坦なサーキット等ものともしない! 

人生は荒野そのものだ!!