………………由美香にとって”決戦の日”が来た!!

この日の由美香コーディネート。
常々モノトーンを好むようだが、重くならず。
若さと可愛らしさも兼ね備えたデザイン。


対して、剣持。
元々ファッションには無頓着な剣持だが、拘りが有り。
やはりモノトーン色を好む傾向を持つ。
警察らしい?”パトカー色”笑。

ハロウィンを迎えた二人の会話は、まずはこの”コーデの共通”から始まった。

「わあぉ!ウチら、まるでペアルックだね♡」
偶然のモノトーン一致に、由美香は気分も弾む。

「あ……言われてみれば、そうだね。
俺、特に意識してないんだけど、普段着なんてこんなもんだよ」
この日の為に、剣持は。
ミニカーと自分だけのスペースだったアパートを可能な限り片付けたつもりだ。
由美香がパンプキンケーキを用意してくれるので、剣持も濃厚なパンプキンケーキに合うという、ブラジルの深煎りコーヒー・カルモデミナスを準備した。

それにしても、由美香手製のパンプキンケーキの出来栄えに剣持は驚かされた。
そもそも女子にケーキやクッキーといった菓子などを作ってもらうのも、人生初の剣持。
見た目だけでも自分の想像を越えたパンプキンケーキを褒めちぎる。
「いやぁ!
こんな本格的なものを作って貰えるなんて…………スゴい!!」

対して由美香は
「ホントはさぁ、しっとり系のヤツとか考えてたけど…………失敗するの怖かったから(苦笑)。
日持ちするパウンドケーキタイプにしたんだぁ。その代わり、カボチャたくさんにしたからね」
キッチンで母親と”オーブン争奪戦”を繰り広げたことは割愛する。

剣持にとっては、細かい事は抜きにして。
自分の為に手間暇かけて作って貰ったパンプキンケーキに、無条件で感謝した。
由美香に勧められて、食べた一口。
それ程甘味が好きというわけでない剣持でも、甘さ控えめで、それでいてカボチャの素材の甘みと食感が広がる味わいに。
思わず舌鼓を打つ!

「……う、美味い!!」

それを見届けた由美香。
心からホッとすると同時に、嬉しさで涙が出そうになった。


「そうそう、サプライズがあるんだよ!」
由美香は先日コンビニで見つけた、青いスポーツカーのミニカーを取り出す。
「コンビニで売ってたくらいだから、剣持さんのコレクションに合うかどうかわかんないけど」
剣持は驚く。
「…………これって、トミカ・プレミアムじゃないか!!
こんなものまでコンビニに置いてあるんだ!?」

意外な剣持の様子に由美香は。
「トミカ・プレミアム?
なんか、普通じゃないヤツなの?」

剣持は興奮気味になって来た。
「ああ!
トミカブランドの中でも細部のディテールに拘って作られてて、車種もそれなりの名車ばかりのシリーズなんだよ!!
結構、したんじゃないの?」

「言われてみれば。
小さいミニカーの割には、したかなぁ?くらいには思ったけど。
カッケーなぁ!って思って買っちゃた♡」

剣持はしみじみとした顔で言う。
「由美香ちゃん……パンプキンケーキまで作って貰って。
更に、こんなサプライズなんて………
反則だよ笑。
ありがとう………ホントにありがとう!!」

剣持の予想外の喜び様に、照れ笑いの由美香。
「ううん!
剣持さんに喜んでさえ貰えれば、それでいいなぁって♡」

更に剣持の賛美は続く。
「この車種はね、1960〜70年代の日産フェアレディZ、S30型というクルマでね。
中でもこれは”悪魔のZ”と言って
湾岸ミッドナイトという漫画の主人公の乗ってたので有名なんだ。
このトミカは、その”悪魔のZ”をイメージに作られてる」

剣持は由美香に対して、出来るだけマニアックな事は省いて説明しようとしているのだが、語らずにはいられない。
「このホイールだって、ワタナベじゃないか!?スゴい」
「プレミアムだからギミックも抜かり無い!
1/60クラスでボンネットが開くなんて、世界でもトミカ・プレミアムぐらいだろう。ホラ!ちゃんとL28(ニッパチ)エンジンまで搭載してる!!」
由美香からすれば。
それこそ、車の事などチンプンカンプンだったが、とにかくミニカーの話になると少年の様に瞳をキラキラさせながら夢中で話す剣持を可愛過ぎる!と感じた。
そして、剣持も気付いていない事を口にする。
「”悪魔のZ”って!
ガチでハロウィンにピッタリじゃん♫」

驚く剣持。
「ホントだ!
これもスゴい偶然!!」

由美香も思わず満面の笑み。
「ウチら、今日のコーデといい、なんか運命感じるね♡」


「…………由美香ちゃん。
俺、今まで10月31日って、ただの月末でしかなかったけど。
こんなハッピーな日は初めてだよ!
ありがとう!!」

いきなり剣持は、由美香を抱き締めた。

「!」
急にで。
由美香は目を見開き、言葉を失う。

「何か御返しをさせてくれ。
何でもいいよ!!」

抱き締められながらの剣持からの申し出に、由美香は胸が熱くなった。
…………そうだ、本当はキスじゃなくても、こうして抱き締めて貰えれば良かったんだ!
由美香は自分の今までを振り返っていた。
誰も、こんなふうに自分を褒めてくれたり抱き締めてはくれなかった。
人に涙を見せたくはなかったが、心は泣いてばかりだった。

「…………何も、いらないよ。
でも、一つだけワガママをきいてほしいの」

「…………何だい?
由美香ちゃんのワガママなら、俺は何でもきくよ!」

由美香の目から、涙が溢れ始めた。

「…………キスが欲しい。
剣持さんの、キスが欲しいの」

剣持は笑う。

「それは前からの約束だろ?
その他には?」

「いらない!
剣持さんのチューがあれば、他に何もいらないの!」

吸い寄せられるかのように、二人は。
ゆっくりと、唇を重ねた。


ハロウィンチュー。
コンプリート!





一方、その頃。


…………都内、某公園。

「ネ…………ネコ…チャン…………Why……?…」


急げ!麻衣!!


〈ハロウィンの光と影・完〉

※文中の団体・組織名及び人名は
実在するものと一切関わりありません

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