
山本磯之進。
”ビジュアルは令和でも心は戦国”な17歳。
その実態は………………
城郭マニア!

城郭マニアとは。
日本の城(城郭)に情熱を注ぎ、その歴史や構造、文化について深く探求する人々で、山本君も多分に漏れず。
城そのもののみならず、関わった歴史上人物・そのドラマ等多彩に探究し楽しんでいる。

よく知られ、天守閣内部まで観覧出来るメジャーな城は全国で12ヶ所とされているが、それら含め現在確認される城及び城趾は2.000ヶ所とも言われ。
山本君もある程度メジャーな城は回りきってしまったので、次のターゲットはより実戦的な城の形態である”山城”シリーズを目指している。
その第一弾として選んだのが……………………
2009年大河ドラマ・天地人の舞台!
”一度も落ちた事の無い”
難攻不落の山城
「坂戸城」(新潟・南魚沼市) !!
城址公園名称・銭淵公園(ぜにふちこうえん)

その日。
山本君宅に初めて朱莉がやって来た。
来てすぐに、山本君は手製=完成品の城のプラモデルを朱莉に贈呈(笑)。
山本家は元々武家の家柄だったとのことで、磯之進君も少なからず影響を受けているのだろう。
「姫様。
此度は、かような汚らしき我が城へお出に賜わり、この磯之進、まことに恐れ大きことと存じ上げまする。
只今、お菓子と飲み物をお持ちいたしまする故、暫しお待ちの程を」
「まあ。お気を使わずに」
程なくして山本君のお母さんが、コーヒーとお菓子の載ったトレイを持って部屋へ入る。
朱莉は深く頭を下げつつ、自分から挨拶する。
「お邪魔しております。
私、島崎朱莉と申します。
よろしくお願いします」
「まあまぁ、こんな汚いところでごめんなさいね(コーヒーとお菓子を置きながら)。
磯之進が女の子を連れてくるなんて珍しいと思ってたら、こんな素敵なお嬢様!!
磯之進には勿体ないくらいだわ」
「まあ!そんな。
お母様、御上手ですこと(笑)」
「まぁ。お母様なんて呼んでもらえて♫
ホントに磯之進のお嫁さんに来てもらいたいわ(笑)」
赤面した山本君が慌てて制する。
「何と!母上、過ぎたることを!!
…………姫様!どうかお気に召されるな」
朱莉も、山本君のお母さんも、互いに初対面ながら良い雰囲気。
一見ミスマッチにも見える、山本君と朱莉には。
実は深い共通点”高校生離れした作法”があり、それが見事に噛み合わさっている。
「どうぞ、ゆっくりしていってね。
お茶のお代わり、また持って来ますからね」
お母さんが部屋を出て、山本君が口を開く。
「姫様。日本の城郭は、お楽しみ召されそうかな?」
「そうね!
今まで私、ヨーロッパの古城には何カ所か訪れたことがあるの。海外にいたから。
それはそれで美しかったり、歴史を感じたり、勇壮に思えたりしたけど。
こうして日本の城に注目したのは初めてで…………そうしたら城の格調高さであったり、繊細さから出てくる美しさに改めて気付いて興味が湧いてきたわ!
…………これも、山本君のおかげよ」
部屋を埋め尽くす城のプラモデルを眺めながら、朱莉は瞳をキラキラさせる。
山本君も、そんな朱莉を見て嬉しそうだ。
山本君は…………ここで思い切った行動に出て見たくなった。
自身は生まれてから17年、一度も女子を誘ったことも無かった………………
しかし、今のシチュエーションが背中を押してくれそうな気がした。
「…………ひ、姫様。
も、もし宜しければでありまするが、この磯之進!
か、各地の城へご案内奉るっ!!」
(言った……!言ってしまった!!)
言ってから脂汗が噴き出して来た。
さすがに、こんなマニアックな誘いは無いだろう………………完全にキモヲタ扱いされてしまう!と目をつぶり、山本君は覚悟した。
暫し沈黙の時間が流れる。
…………と、薄目を開けて見ると。
朱莉はパッと花開いたような笑顔で、山本君を見つめているではないか!
「ホントに!?
ホントに山本君、私を案内してもらえるの!?嬉しいッ♫」
朱莉は山本君に抱きつかんばかりの喜びようだ。
「ひ、姫様。
昨年それがしが参りましたる、新潟の坂戸城跡公園が。
紅葉の余りある美しさに心奪われる程にござりました故、是非とも姫様にお観せしたきたく!」
新潟の南魚沼市にある坂戸城址までは、東京都内からでも新幹線を使えば余裕で日帰り出来るコースだ。
「ホント!?
行きたい行きたい!!
紅葉って、もうすぐシーズンよね♫」
子供のように、はしゃぐ朱莉。
本当に信じられない程トントン拍子に進む幸運に、山本君は文字通り”目が回りそう”だった!
その日は夕方から親と買い物に行く予定とのことで、朱莉を見送ることにした山本君。
「あら?
もう、お帰りなの?
もっとゆっくりしてもらって良かったのに」
山本君のお母さんが、自家製というマドレーヌの包みを朱莉に持たせる。
「ありがとうございます、お母様。
また、お邪魔させて頂きます」
朱莉は丁寧に挨拶する。
「本当に、何時でもいらしてね。
ウチは男の子ばかりでムサ苦しくって(笑)
朱莉さんみたいな綺麗なお嬢さんが来ると、ホント華やかになるわ」
「そんな(笑)。
でも、本当にありがとうございます!」
朱莉を駅まで送る道中。
辺りは既に真っ赤な夕焼けに染まっていた。
次の角を曲がれば駅、という時…………
「…………山本君。
ホントに優しい人……私の思ってた通り」
突然。
朱莉は素早く、山本君と唇を重ねた。


「じゃあ。
明日、学校でね♡
今日は……ありがとう!」
朱莉は、”さよなら”とは言わなかった。
………………帰り道。
朱莉は、それまで誰にも見せたことの無い涙を流していた。
嬉し涙だった。
幼い頃から父の転勤で世界各国を回り続け、その国の友達と言葉を交わせるようになれた頃に又、他国へ………………
その連続だった。
ようやく帰国できた高校生の時には完全に周りと感覚がズレてしまっていて、気が付けば心を許せる友達も居なくなっていた。
だが、山本君だけは違った。
誰に何と言われようとも自分のスタイルを貫き通し、朱莉にも常に思いやりを以って接してくれた。
最初”姫様”と呼ばれた時。
正直からかわれているのかな?と身構えてしまったが、それさえも彼の示す特別な意味と知り、次第に朱莉は山本君に惹かれて行った。

「…………好き。
私、山本君が好き!
もう誰にも私の心を隠さない!!」
それは……山本君の愛して止まない2007年大河ドラマ「風林火山」(内野聖陽・主演)のOPだった!
山本君が朱莉を”姫様”と呼ぶようになったのは、実は意味があった。
彼女が天然を装いながら実は、周りに溶け込めずに悩み続ける姿に気付いていたからだ。
大河ドラマ「風林火山」には、自らの意思とは無関係に悲しき運命に翻弄される
”諏訪の姫様”由布姫が登場する。
主人公であり武田家の軍師である山本勘助(偶然同じ山本)は、そんな諏訪の姫様に影となり日なたとなり、身を挺して支え続ける……という内容だった。
山本君には、朱莉と”諏訪の姫様”が重なって見えたのだった。
(……姫様!
この磯之進、身を挺しお守り奉る!!)
〈愛の風林火山・完〉写真;HARIMA
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