…………学校前のファミリーレストランで。
一人、麻衣の下校を待つ剱持刑事37歳。
しかし!その心は。
数分前に偶然出会ったばかりの、別の少女に支配されていた!!

(ウザ!クサ!キモ!)

(また会いたいなぁ♡)

(イ………イカン!!
どうした?剱持博己!
オマエの仕事は真行寺麻衣のはずだ!!)

しかし…………
そう思えば思う程、彼女のことが気にかかって仕方が無かった。
名前は?
歳は?
男性の好みは?

(バカな!
あんな、年端の行かぬ小娘に………
今日の俺はどうかしてる)

そもそもが既に先ほど別れてしまい、再び会うことも無いと思われる。
自分に与えられた職務と、想定外に生じた感情の狭間に立ち……………
思わぬ苦しみに剱持は堪えていた。

ファミリーレストランの入口から、聞き覚えのある若い女の声がして来たのは。
その僅か後だった!


あ!いたいた♫
お待たせ!!イケオジさん♡
ホラ!連れて来ちゃったよ♫♫♫」

!!
(夢ではないのか!?
昔の人は良く言ったものだ!
”鴨がネギを背負って来る”と!!)

その少女の名は北原由美香(きたはら・ゆみか)。
麻衣より一学年上の3年生。
学校では一目置かれる”ギャル先輩”としてその名が通っている。

その日の放課後、麻衣達のクラスでは。
学園祭の定番出し物”オバケ屋敷”の打ち合わせやら小道具作りやらで、忙しくも楽しい時間を過ごしていた。
麻衣も栄太と組みつつ、オバケ役の変装具作りに励んでいた。
しかし!
その和気あいあいとした雰囲気を、一瞬にして凍り付かせる者が教室に現れる!!
由美香だった!
「真行寺麻衣さん。チョイ面(ツラ)貸してくれる?」

「ちょっと待ってください、先輩。
麻衣が何か?僕らは今、作業中なんで」
すぐさま栄太が矢面に立つ。

大丈夫、すぐに済むから」
由美香は面倒臭そうに言った。

「ちょっと、麻衣!
何か目をつけられることでも、したの?」
朱莉も心配そうだ。

「いや、全然」
麻衣にも全く心当たりが無い。

「お方様!この磯之進、お供せて頂きとう存じます!!」
山本君がまかり出る。

やり取りを聞いていた由美香が、しびれを切らす。

「ったく、超絶ウゼェな〜〜〜💢
人待たせてんだから‼️
さっさと準備しろよ!」

……………このようにして。
麻衣は無理矢理、連れて来られたのだった!
(…………たく!怒りたいのは、こっちよ!!せっかくみんなで楽しくやってたのに。
ギャルだか何だか知らないけど?
思わずクリティカル・電 The End食らわしてやりたくなるわ!!!)

確かに、本当に怒らせると学園一コワイのは麻衣に違い無い!

対称的に、実に嬉しそうな由美香。
「実はさぁ…………
さっきイケオジさんと別れてから。
もう二度と会えないのかな?なんて思ったらね、悲しくなっちゃって……………
そんなの、超絶ヤダ!!って!
ウチ、そんなのムリだから、イケオジさんの役に立ちたくてさ。
この子会わせたげようって!!」

由美香の瞳には涙が浮かんでいた。

剱持は感激した。
まさか相手の少女も自分と同じ感情を持っていたとは!

「………それは、本当にありがとう!!
こんな仕事をしているが、実は今時の高校生との接し方が分からなくて結構悩んでたんだ。
キミと出会えて、本当に良かったよ!」

由美香の顔がパァッと明るくなり。
そして、ほんのり紅く染まった。

「それから真行寺麻衣さん。
始めまして、私は剱持と言います。
こういう仕事をしてます!
(手帳を見せる)
今日は忙しいところ来てもらって、本当にすみませんね。
お会い出来て嬉しいです!」

警察手帳を見せられて、麻衣は目を丸くする。

「あの………わたしに何の用ですか?」

…………と
由美香が思い出したように席を立ち。

「あっ!
コレ、渡すんだった」
それは、由美香のLINE IDの記された手書きのメモだった。


「ウチ、由美香ってんだ♫
ヨ・ロ・シ・ク!剱持さん♡
LINE 待ってるからね💖」

剱持へウィンクを投げながら、由美香は店を出た。

(ゆ……ゆ・み・か…?…………ちゃん💗)

既に、本来の責務から逸脱し。
ある意味”玉砕”してしまった、剱持である!

(なに?この、鼻の下伸ばしたエロオヤジは。女も女だ!ぶち抜きで去って行きやがって※主役わたしなんだけど)

次第にバカらしくなってきた、麻衣であった!

〈御対面…のはずが?・完〉

※文中の団体・組織名及び人名は
実在するものと一切関わりありません

写真;HARIMA
キャラクターアプリ;Picrew.me ChatGTP
画像アプリ;You Can Perfect