…………剱持刑事は意を決し。
参考人としての、麻衣とのコンタクトへ向かった。

色々考え倦ねたが結局は自身の経験を信じつつ、参考人には礼を尽くし。
誠実な対応で職務質問を行うことこそが最良の手段であると、剱持は確信した。
たとえ相手が女子高生であろうと……………
ただ。
麻衣本人の立場を考え、極力学校関係者の居る場所での聞き取りは控えようと思っていた。
しかし、いずれにしても麻衣本人と出会うには、やはり学校近辺のエリアで待機する他無かった為。
放課後の時間を狙い、キャンパス道向かいのファミリーレストランで窓の外を眺めながら生徒達の出るところを待ち続けた。

「真行寺麻衣。確か、帰宅部ということだが……………」
ファミリーレストランで過ごす時間も既に1時間を過ぎていた。
もしかして退校時刻を間違えてたか?
校門から生徒達が、なかなか出て来ないので剱持は一旦店を出て。
キャンパスの中を覗いて見ることにした。
附属する大学の学生も出入りしているので、自分も怪しまれないだろうと剱持は考えた。
ところが、その時間に限ってキャンパスへの人の出入りは全く無く、校門付近にはスーツ姿の剱持だけが浮いた形で居ることになってしまった。
剱持が振り返ると、そこには麻衣と同じ制服を着た高校生が立っていた。
姿を見ると、麻衣とは明らかに違う不良っぽさを感じられた。

(わ!!
本物の、女子高生だッ!!)
剱持は慌てたが、努めて冷静に対応しようとした。
しかし、今回はあくまで麻衣とのコンタクトへフォーカスするのに精一杯だった為。
このようなシチュエーションは想定しておらず、適当な言葉が見つからない。
「え…………えっと、
そ、そろそろ、退校時刻………だよね?」
その女子生徒は、ますます怪しそうに顔を歪めて剱持を見つめた。
「そんなこときいて、どうすんのさ!?
オッサン、どっかの親?にも見えないし〜〜!
こんなとこでウロウロし〜の、ただのヘンタイかよ?ケーサツよんじゃおか〜♫」
(あの〜〜、俺、警察なんだけど汗)
などと喉まで来た言葉を剱持は飲みこんだ。
今は、まだそれを言うべきではない。

ガーン!
恐れていた事態となってしまった!
確かに最も言われたくなかったワーズ3をまともに食らい、剱持は気が動転!!
自分の中で”自信”という文字が、音を立てながら崩れていくのを感じた。
「あの………ホントに、怪しい者じゃなくて(汗)」
「そーゆーのが怪しいっての(笑)」
女子生徒が笑う。
剱持は腹を決めた。
手帳を見せる。
「俺は刑事だ。
ここの第一高校の2年生で
真行寺麻衣さんという生徒さんに話があって、ここに来たんだが。
知ってる?」
悪ふざけをしていた女子生徒の表情が固まる。
「え〜〜〜!?
マジマジマジンガー!?
オッサン、ガチ警察!?」
剱持は口に人差し指を当てながら女子生徒を校門の影に呼ぶ。
女子生徒は、さっきまでと違い神妙な顔をしている。
「ウチ、その子知ってる!ガイジン先生と授業バックレて有名になったやつ」
剱持は内心
(何なんだ?そのエピソードは!?)
と気になったが、今は置いておく。
「その真行寺さんとお会いする為に、ここで待ってるんだが。
まだ下校時間じゃないのかな?
あ、いや、真行寺さん自身に問題あるんじゃなくて。
とある事故現場に他の人達と一緒に居た可能性があるんで、話を聞きたいだけなんだけど」
剱持は努めて、希望する聞き取り内容に深刻さを出さないよう女子生徒に説明した。
「ん〜とね、ここんとこ学園祭の準備とかで遅くなる子結構いるから、もうちょい時間かかるかも?
6時くらいになれば、ミンナいい加減疲れて帰り出すから」
「わかった!ありがとう!!」
剱持は、その頃になるまでファミリーレストランで時間を潰すことを考えた。
礼を言って立ち去ろうとすると……………
「オッサン!………じゃなくて刑事さん」
女子生徒に呼び止められる。
「刑事さん……よく見るとイケオジだね!また会いたいなぁ♡」

少し照れくさそうに微笑む女子生徒。
最初とは全く違う顔だ。
剱持は黙ったまま微笑んで、軽く手を上げて別れた。
しかし………内心ガッツポーズ!!
(やった!女子高生に、イケオジって言われた!!!🎉)
イケオジ♡と上げられたり…………
今時の女子高生に、見事なまでに手玉に取られた剱持であった!
実在するものと一切関わりありません
写真;HARIMA
キャラクターアプリ;Picrew.me ChatGTP
画像アプリ;You Can Perfect


