…………その大きな身体に似合わぬ独特の天然ぶりを披露した、外国人非常勤講師エリック。


しかし、その正体こそ………


国際政治結社・イスロから日本へ送り出された量産ゲリラ式戦闘ヒューマノイド

「ティーチャー」だった!


それを、いち早く電子頭脳で感知した麻衣も懸念する。

「早くなんとかしないとヤバくない?コレ」

……………しかし。

そんな心配をよそにエリック=ティーチャーは生徒達との距離を次第に縮めていき、学校という環境に馴染んで行った。

そして、とくだん何の如何わしい様子も無い”普通の非常勤講師”としての安寧な日々を送り続けている。

担当科目は英語だが課外活動も、その体格を生かしラグビー部補助コーチを請け負う。
普通の人間以上の身体能力を見せ、忙しく部活動をサポートするエリックに部員達は声をかける。

「エリック先生。
ぜんっぜん水分とってないみたいだけど、大丈夫ㇲか!?」

「もしかして昭和の日本、手本にしてたり?笑」

エリックは屈託の無い笑顔で答える。

NO!
ダイ、ジョウ、V(ブイ)デス笑」


一方クラスでは。
サンリオ・グッズを見かける度に目を輝かす。

オー!!
コレ、ウサハナネ!」

一人の女子生徒のペンケースに注目したエリック。

「え!?エリック、ウサハナ知ってるの?」

Of course!!

ジャパニーズカワイイ

サンリオVery,Very,Cute!!


「ウンウン!!カワイイよね〜♫」

「ね〜♫」

「キティちゃんなら誰でも知ってるけど、ウサハナまで知ってるのコアだね!」


女子達との会話も弾むエリックであった。




遠く中米では。
監視続けるドメニコが、不安そうに首を傾げていた。
「う〜〜ん、やっぱり何かおかしいぞ?」




………麻衣は。
この非常勤講師エリックのことを母の美枝に随時報告していた。

「…………今んとこはさ、平和に過ぎ去ってるけど。いつ化けるか?わかんなくない!?」

美枝も首を傾げて、暫く考え込む。

「…………う〜〜〜ん、麻衣の回路が検知してるんだから間違いは無いはずだけど。
仮にその、送り込んだ側がどんな狙いなのか?検討が付きづらいわね」

エリックが赴任して来てから、既に2週間になろうとしていた。
もし何らかの作戦行動を取る為に来たのなら、長居は無用なはずだが?と美枝は考えていた。

「どちらにしても麻衣には。
何かあったら、いつでも対応出来るようにしていてもらうしかないわね」

「マジッ!?か〜〜〜………
学校で変身しなきゃなの!?
ヤダヤダ絶対ヤダ〜〜〜〜〜ッ!!」

案の定、ダダをこね出した麻衣に美枝はキッパリと命じた。

「おトイレでしなさい、おトイレで!
変身は!!


〈天然な戦闘ヒューマノイド・完〉

※挿絵のサンリオ・キャラはウサハナではなくマイメロディです

写真;HARIMA
キャラクターアプリ;Picrew.me ChatGTP
画像アプリ;You Can Perfect