
「麻衣!!
どうしたの!?
何があったの!?」
自分より早く研究室を出たはずの娘が
何時になっても帰らない。
スマートフォンにも出ない。
自宅で待っていた美枝は
気が気ではなかった。
しかも。
ようやく帰って来たかと思えば
ボロボロの体(てい)!
麻衣は玄関に到着するなり
倒れ込んでしまった。

「麻衣!?動けないの!?」
美枝はメンテナンス室へ麻衣を運ぼうと抱きかかえた。
すると麻衣は口を開いた。

「………お母さん
わたしにお姉さんて、居るの?」
「え!?」
「………さっき、華裏那っていう人に
会ってきた
わたしの姉だって、言ってた」
栄太は思わず立ち上がった!

「やめろぉ!!
麻衣は、そんな奴なんかじゃない!!」
クラスが静まりかえった。
しはらくすると、お調子者の男子一人が冷やかした。
「よ!さすが夫婦!!」
男子もう一人が、昔の演歌を唄い出す。
「♫ワッタッシの大事なダンナ様〜〜」
緊張が一気に解け、笑いが広がった。
陰口を言っていた女子達も、バツが悪そうに苦笑いした。
栄太も何となくホッとした。
と、同時に
いつの間にか自分と麻衣が”公認”扱いとなっていたことに驚愕!!
(イヤな気はしないが照れくさい草)
それにしても…………
やはり麻衣のことが気にかかる。
チロリン♫
寝室で休んでいた麻衣にLINEが届く。

「栄太だ!」
十日しか経ってないが、随分久しぶりに感じる。
栄太〈よ🙋元気?休学延長のこと
モトハシから聞いたよ〉
モトハシとは、担任の呼び名だ。
栄太〈な〜〜〜んにも気にしなくていいから😊ゆっくり休んでね〉
このコメントに嬉しくもあり、ちょっぴりさびしくも感じた。
ホントは、早く会いたいね……とかの言葉を淡く期待していた。
麻衣〈ありがと✨またね😊〉
そう、一言だけ返して
麻衣はLINEを閉じた。
数分すると……また栄太からLINEが来た。
急いで開けた。
栄太〈あのさ……なんか困ったことあったら⏰️いつでもいいからLINEしてね👍〉
麻衣の顔に笑顔が戻る。
麻衣〈ありがと〜〜‼️♫💐😆またLINEするね♫ヨロシク〉
すぐさま栄太がスタンプ。



今夜は気持ち良く眠れそう…………
この十日間大変だったことも全て栄太にチャラにしてもらえた、麻衣だった。


…………美枝は。
麻衣から聞いた昨夜の出来事によって
”忘れていた過去”……………いや
”封印していた過去”を思い出すことになった。
麻衣に全てを打ち明けるには
余りにも唐突過ぎるタイミングで……………
昨夜はどう話をして良いものか、困惑しきっていた。
既に麻衣も高校生。
理解出来ない年頃でも無さそうな感じもしたが、そうした決め付けは大人の一方的なエゴでもあり。
本人に思わぬショックを与えてしまうリスクもある。
…………なので麻衣へは
「調査してみるね!」
の一言で取り繕ってしまった。
麻衣が生まれる12年程前。
当時夫だった日向武雅は、東南アジア諸国へ技術援助する任務で単身派遣されていた。
日向は、その頃。
現地で知り合った女性との間に子供を一人授かっていた……という話を離婚後、人づてに美枝は聞いていた。
「………まさか、その子が!?」
もし麻衣が昨夜出会った華裏那という女性が、その日向の子だとしたら………
年齢も一致するどころか
麻衣と同じく戦闘ヒューマノイドへ改造された件も納得出来てしまう。
美枝は頭を抱えた。
しかし自分自身が混乱してしまっても始まらない、毅然と対応して行かなくては!!と。
そして……………
二人を救えるのは自分だけだ!!と。
美枝は決心したのだった。

〈隠された真実・完〉
写真;HARIMA
キャラクターアプリ;Picrew.me ChatGTP
画像アプリ;You Can Perfect






