その昔………………
世界の航空がまだ
プロペラ(レシプロ)機主力だったころ
音速のカベを破ろうと命を捧げた男達がいた
逝ってしまった仲間達を見送りながら
「自分こそはやってやる」
と明日をも知れぬ日々を恐れもせず
立ち向かった者もいた

当時米空軍所属テスト・パイロット
チャールズ「チャック」イェーガー

この私を空の世界へと導いただけでなく
不可能と言われていたこと
必ず命を落とすと言われていたことを
その類稀なる勇気と誇りで可能にした
私にとって「神」である男
自分の初めて空に解き放った黄色い電動RCプレーンに「X一1」と名付けたのも
それが理由となっている

そんな私が今再びカベに向かう時が来た
様々な「恐れ」が私を包む
目がこのようになっては飛行機のフライトなど出来ない………………
真っ青な空を見ることも無いと

しかし
昨日のフリー機のフライトをしっかりと見届けることが出来
RC機の操縦にもう一度挑む勇気が生まれた

9月10日    某山中
クラブ飛行場を選ばなかったのは
まだ仲間達に知らせる段階では無かった為

大切な役割を担った機体・SKY KING

………………発航してすぐ異常を知った

機体が沈んでいく!
エレベーター・トリムが狂ってる?
しばらく飛ばしてなかった…………
サーボのエンコーダーか!?
引き起こしても機速が足りない
ままよ!とフルスロットル
上がれ!!上がれ!!上がれ!!
対面飛行に移り
ようやく上昇開始
しかしまだ機速が出すぎている感じがする
久しぶりだからか?
いや違うニュートラルで
エレベーターが微ダウン状態のままだからだ!
まるでパイロン・レーサーのような?高速ターンを低高度で繰り返すSKY KING !

送信機のエレベーター・トリムにようやく手が行き調整成功!
上空へ……………………
今日は低空も上空も午前中の段階で
四方八方からの風向・風力の乱れを強く感じた
何回かの墜落の危機をも乗り越えることが出来た
この目の状態ではムリかと思っていた
…………しかし
これには本当に感動した!!
もちろん機体の姿勢を見失うことも無く
そして………………
着陸も申し分なし!
言う事なし!!



明日は遂に「最後の審判」の下る日
しかし私は恐れない
人生に立ちはだかった何度目かの
「カベ」を乗り越え
必ずここへ帰ってくる!

チャック・イェーガーのように!!